書評『シビックテック ICTを使って地域課題を自分たちで解決する』

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シビックテックとは、シビック(市民)とテック(テクノロジー)を組み合わせた造語。市民主体で自らの望む社会を創り上げるための活動とそのためのテクノロジーのことを言う。

具体例も、比喩も、とても面白い。

具体例で、紹介したいのは、ボストンのadopt-A-Hydrant。

ボストンでは、冬に消火栓が雪に埋もれてしまうが、定期的に除雪するだけのお金がない。そこで、消火栓の位置を地図上に表示(オープン)した後、「雪から掘り出した消火栓には名前を付けられる」というゲーム的な仕組みを導入し、市民自らの行動が課題解決につながったという。

比喩では、藤井靖史先生の「お味噌汁理論」。

味噌汁の上部と下部の温度差から対流が発生するのと同様に、あらゆる物事も温度差 → 対流 → 構造の順番で自然に発生するという。

自然の法則に反して、構造を作って対流を起こそうとし、すなわち、「〇〇コンソーシアム」や「〇〇委員会」といった組織を、予算をかけて作り、会議を繰り返し、計画を作成し、各人にタスクを振り分けて実行しようとすると、苦戦するという。

ICTを使って地域課題を自分たちで解決することの面白さが、仮に技術的なことがよくわからなくても、よくわかる本。皆様も読んでみてください。

次回10月13日(火)の地域力おっはークラブは、藤井靖史さん。
ぜひ皆さんいらしてくださいね。

【告知】第92回地域力おっはークラブ。会津若松の藤井靖史さんが語る「実践地域概論」


編集部より:この記事は、井上貴至氏のブログ 2020年9月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『井上貴至の地域づくりは楽しい』をご覧ください。