中国とどう接する?日本経済界の重鎮2人が正面衝突 --- 古森 義久

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

日本経済界の重鎮2人が、米国と中国に対して日本がどんな姿勢をとるべきかをめぐって正面衝突した。2人は米国の大手紙の質問に答えるなかで、相手の考えは間違っているとして厳しく非難し合ったという。日本の財界でのこれほどの意見の分裂は、菅義偉首相の米中両国への政策をきわめて困難にすると、同米紙の記事は結んでいた。

「日本は対米同盟を優先するべき」と葛西氏

米国大手紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」(9月15日付)は、「日本の次期指導者は中国をめぐる衝突に放り込まれる」という見出しの長文の記事を掲載した。米中が激突するなかで、日本の菅新政権が米国と中国に対してどんな政策や立場をとるべきか、難しい方針策定を迫られるという趣旨だった。

記事の筆者は同紙のピーター・ランダース東京支局長である。5月25日の安倍晋三首相の内外記者会見で、「いま米国と中国がウイルスなどをめぐり激しく対立しているが、日本はどちら側につくのか?」という鋭い質問をしたのが、ランダース記者だった。

この記事は、日本の経済界で日中関係、米中関係について確固とした意見を持つJR東海(東海旅客鉄道)名誉会長の葛西敬之氏と経団連会長の中西宏明氏とに個別に質問し、さらに主張の異なったその2人にそれぞれ相手の意見への見解を述べさせていた。

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