今週のつぶやき:トランプ氏コロナ陽性、NTTのドコモ完全子会社化など

菅首相が「学者の国会」と称される日本学術会議の改選にかかる半数、105名の候補のうち、6名を任命除外した報道は二つの示唆があったとみています。一つは官房長官時代に培った「狸オヤジの仮面をまとった嫌味な策士」の正体が早速表れてきたこと、もう一つは日本学術会議の意味なのでしょう。本当に機能しているのか、存在価値があるのか、です。学者は考え方で派閥を作るため、傍で見ているとある意味醜いものです。ここに目を付けた可能性はあります。これも構造改革の一環かもしれません。菅さんは怖い、というイメージを更に一歩、植え付けた気もします。

では今週のつぶやきをお送りします。

システムダウンしても復旧する株価

東京市場が開かないのを見て「あれ、今日、祭日だっただろうか?」と思わずカレンダーを確認しました。終日全面停止には厳しい評価が下されるでしょう。小池都知事は「国際金融都市」を目指したはずですが、この失態ではその達成はいばらの道になります。一方、一日ぐらい市場が開かなくても大勢に影響はないと思います。日本ほど祭日が多い国はないわけで海外から見ていると「あら、また休み?」という感じです。

東京証券取引所(写真AC:編集部)

株価そのものへの影響もさしてなかったわけで翌金曜日は粛々と取引がなされました。英語でFail safeという言葉があります。安全装置といった意味ですが、何か失敗があった時、必ず、バックアップが効くというものです。病院で手術中に停電になったら自家発電に切り替えるのと同じです。しかし、今回はその仕組みがあったにもかかわらず機能しなかったというのは設計思想そのものに弱点があったのかもしれません。

もう一つの弱点は東証がダメなら札幌も名古屋も全部だめという脆弱性であります。今回機能していたのは大証の先物取引だけです。これでは東証の取り組みそのものに問題があったといわざるを得ません。ある意味、二つのトラブル、システム障害で東証の市場構築のポリシーの不備が露見したように感じます。世の中、コンピューターのネットワーク化が当たり前になりつつあり、今後、更にそれが強化されても「絶対」という言葉は存在しないことは肝に銘じておくべきでしょう。

コロナでダウンしたら復旧できないトランプ氏

x.com

トランプ大統領夫妻がコロナに感染した報に接し「あれ、選挙戦が不利だからコロナになって選挙日をずらそうとたくらんでいるのか?」と思わず勘ぐってしまいました。この時期の隔離には厳しい評価が下されるでしょう。ではこれがどれだけ市場などに影響するか、でありますが、正直、私は一部で言われている大規模な調整はないとみています。

そもそも市場は既にバイデン大統領誕生を織り込み始めています。この先、国民向けスイートディールが連発されることを期待したのですが、その部分が剥離した点はマイナスかもしれません。しかし、大勢に影響はないとみています。むしろ、バイデン氏が突き放し策に出るはずですが、個人的には討論会の第2ラウンドである10月7日の副大統領候補同士のバトルがバイデン陣営のキーになると思います。ハリス候補は全米ベースのこのような舞台は未経験である点でペンス副大統領とどこまで戦えるのかは案外、今回の大統領選の最大の見ものではないかとすら思います。

ハリス候補(本人公式サイト:編集部)

ここでコロナにかかったトランプ氏はブラジルのボルソナーロ大統領のことを頭に描いているかもしれません。同大統領もコロナ軽視、しかし感染したもののその後、支持率が急上昇しています。そのシナリオで起死回生の大逆転を狙い成功する可能性は無きにしも非ずです。しかし、それはかなり小さく、むしろ英国のジョンソン首相のような一時期の人気が剥離した状態になる公算が高い気がします。本日発表された9月のアメリカ雇用統計は失業率が7.9%と改善の歩みです。トランプ氏にとっては悔やしい展開でありましょう。

世の期待と真逆に向かうNTTとドコモ合併

この4兆2千億円にも上る世紀のニュースが出た際に私がブログネタとして書かなかった理由は流れが不思議で書きようがなかったからなのです。なぜ、合併なのか、と言えばメディアは政府が目指す携帯料金の値下げ対応をしやすくするように合併で効率的経営を行い、ドコモの利益の1/3の流出を防ぐためとあります。(NTTはドコモの2/3の株式を持つので1/3は外部株主に利益が配分されているという発想です。)

かつて東電が原発事故を起こした際、日本中で沸き起こった議論とは、発電と送電の分離化でした。これはインフラを通じた国民へのサービスについてその透明性と平等性を追求する点におけるよくできた思想だったと思っています。NTTはその点では通信のインフラを抱えており、NTTドコモは移動体通信事業を担う子会社でありました。その二つが再び一緒になったらどうなるのでしょうか?私には真逆の論理に見えるのです。

確かに一時的には携帯電話料金引き下げの効果はあると思いますが、移動体通信でNTTグループの圧倒的有利な展開が見込まれます。つまり、auやソフトバンクが長期的には不利になり、長い目で見ればNTTのひとり勝ち、ひいては携帯電話料金の引き下げが必ずしも正しい経済競争の原則を貫かないかもしれません。メディアはこの点をほぼスルーしているのですが、私はNTTが通信インフラのガリバーに先祖返りすることを政権は本当に望んでいるのか、とても引っかかるのであります。

後記

外国人の入国緩和が始まりました。来年のオリンピックを予定通り開催するとすればこれが第一弾で今後、ほぼ2が月に一度ぐらいのペースで更なる緩和プランを実施していかないとオリンピックが一定制限下で開催されるとしても準備が間に合わないはずです。ところで直近のインフルエンザの患者数が昨年比1000分の1以下に激減している事実からインフルエンザとコロナが混同されている公算があり、正直この冬はこれが大混乱を引き起こすかもしれません。大変難しいかじ取りになりそうです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年10月3日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。