民間企業で働く人の昨年の平均給与が、毎年発表される国税庁の民間給与実態統計調査の結果でわかりました。この調査は1949年に始まった国税庁の民間給与実態統計調査で約1万8500事業所の約24万人の回答を基に、全体を推計しています。
ここ数年は平成25年から毎年少しずつ上がってきていましたが、昨年(平成31年)は7年ぶりに減って年間平均給与は436万4000円と前年比で1.0%減りました。この年間平均給与は昨年の給与ですから、新型コロナウイルスの感染拡大による経済の低迷、そして給与ダウンが織り込まれているわけではありません。
給与所得者の平均が436万4000円ということですから、どうしても人間ですから発表された平均給与と比べて自分は多い、少ないと考えちゃいますね。平均は平均ですから、当然多い人も少ない人もいるわけですけれども、男女別で見てみると、男性は539万7000円、女性は295万5000円となっています。また雇用形態の正規・非正規別で見てみると、正規が503万4000円、非正規が174万6000円でした。こうみるとやはり、かなりの差がありますね。
さて、皆さんはどの業種の給与が高いと考えていますか。
年間平均給与の高いベスト3を見てみると、第3位は情報通信業の598万5000円、第2位は金融・保険業の627万円、そして第1位は電気・ガス・熱供給・水道の824万2000円でした。また、大企業と中小企業でもやはり違いますよね。先ごろ東京商工リサーチ(2020年3月期決算の上場1803社対象)が発表した上場企業の平均年間給与は630万5000円でした。大企業も業種別にベスト3を見てみると、第3位が電気・ガス業の689万円、第2位が不動産業の749万円、そして第1位は建設業の756万1000円で4年連続1位でした。
いずれにしても、給与だけを見れば誰だってというかほとんどの人が高いに越したことはないと思うでしょうけれども、収入面だけでなくて生活していく、生きていくということは、今度は支出も考えなければいけません。住んでいる地域によっても異なり、例えば、家を買う一生の買い物でも1000万円以上違うということもありますし、家賃も違えば生活にかかる費用も違います。当然、その人がどんな暮らしを求めているのかによっても違うわけで、その結果が生活水準となり、ましてや幸福感は人それぞれです。
それにはっきり言って平均給与ですからね。若い人もいれば年配の人もいる、バリバリ営業して稼いでいる人もいれば、やることをやらずにとりあえず給料を貰っているいるわけです。よく「結婚相手に求める年収は?」というアンケートで女性が「1000万以上」と答えている結果を見たことがあります。仮に結婚を考えている20歳代の人が相手に1000万円という金額と言うのは勝手だけれども、現実そんなにいませんよ。
私の子供達には、「結婚相手に求めるのはどんな仕事でも良くて、年収ではなく仕事に対する真剣さ」だと言ってきました。一生懸命仕事をすればやがて年収だってついてくる。建前でなく私は、若いときに1000万や2000万を稼いでいる人は、IT長者などのひと握りは別として、ろくな生き方をしていない人だと私は思います。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年10月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。