PCR検査の重大な問題。Ct値の検証を急げ!

柳ヶ瀬 裕文

こんにちは。参議院議員のやながせ裕文です。

10月5日、京都大学ウイルス研宮沢孝幸准教授とYouTubeライブにおける対談で、PCR検査の重大な問題点についての指摘を受けた。

PCR検査の感度が高すぎるために、死んだウイルス等にも反応してしまい、他者に感染させる可能性のない人も陽性と判定してしまうのではないか、というものである。

そもそもPCR検査とは、採取した唾液等にウイルスの遺伝子の一部が含まれているかどうかを判定するものであり、含まれていれば陽性、いなければ陰性と判定される。しかし、そのウイルスの特性まではわからず、感染力のない微量なウイルスや、死んだウイルスでも存在が確認されれば陽性となってしまう。

注目すべきは、検出するまでのサイクル数を示す「Ct値」だ。

PCR検査では、サンプルのウイルス遺伝子を増幅させて判定するが、増幅の回数を示すのが「Ct値」である。1サイクルで1本の遺伝子が2本に、2サイクルで4本、3サイクルで8本と乗数で増えていく。これを繰り返し、特定の反応が立ち上がると陽性だと判定される。

現在、新型コロナウイルスの判定方法について公開されている、国立感染症研究所の「病原体検出マニュアル(令和2年3月19日)」では、判定するのに必要なサイクル数を45サイクルとしている。45サイクルとは、1本の遺伝子が理論上は35兆本となる計算である。宮沢准教授は、この45サイクルは過剰であり、死んだウイルスの断片など、感染力とは関係のないウイルス遺伝子の検出につながる可能性が高く、Ct値は32程度が妥当なのではないかと述べている。

国立感染症研究所に「45サイクル」とした根拠を確認したところ、以下の回答があった。

「ウイルスRNA1コピー」の増幅が確認できるポイントが概ね38か39サイクルであり、試験ごとに多少のずれが生じるため40サイクルとしている。機器、測定システムの性質上、40サイクルからの増幅を確認するためには、それよりも5サイクル上まで増幅反応を行う必要があるため、45サイクルとしている。

つまり、感染研の検査法は、理論上で遺伝子1コピーを検出することを目標としているのだ。果たしてこの目標が妥当なのかどうか。

オーストリア国内のPCR検査(IAEA/flickr)

海外では「Ct値が34以上だと感染性ウイルスを排泄しないと推測できる」という論文も発表され、実際に台湾ではCt値が35より低い場合のみを「陽性」と判定しているとの報道もある。また、英米でのメディアでは「PCR検査で陽性とされた者のなかで、実際に感染している者は少ないのではないか」という疑念の声があがっている。

機器や試薬、無症状か発症からの期間などの条件も考慮する必要性があるが、現在の日本におけるPCR検査の運用方法について検証を急がなければならない。

政府は冬に向けてPCR検査数を1日20万件できるように増やすと計画している。このままでは、大量のPCR検査を実施した結果、他者に感染させる可能性のない微量のウイルス保持者を拾い上げ「陽性」と判定し、「隔離」してしまう可能性がある。検査は、あくまで、感染拡大を阻止することを目的とするべきだ。国会での提言を続けていく。