こんにちは、東京都議会議員(町田市選出)
無所属 東京みらい おくざわ高広です。
※今日の話は分かりにくいので、時間のない人は最後の章だけ読んでください。。。
真の都民ファーストとはなにか
「税を下げろ、規制をなくせ 日本経済復活の処方箋(光文社新書)」の著者であり、早稲田大学公共政策研究所招聘研究員、日本政策学校理事でもある、渡瀬裕哉さんをゲスト講師として招いた勉強会の講演タイトルであり、私たちに投げかけられている大きなテーマです。
すでに同僚の斉藤れいな議員が書いているので、まずはこちらをお読みください。
1.小池都政が進めてきた「2020改革」
「都民ファースト」とという言葉が使われるようになったのは、小池知事当選の後(公約では書かれていない)、人口減少や高齢化といった諸課題が顕在化するであろう2025年を迎える前に、2020年をターゲットに都庁の経営改革を果たそうということで計画「2020改革プラン」からだと記憶しています。
改革を進める基本原則として都民ファースト、情報公開、賢い支出が掲げられたもので、
「都民の利益、満足度を第一に考え、政策、施策及び事業を実施するに当たって、都民のニーズに即した政策等が展開されているか、利用者の目線で政策等を点検し、見直す。」
と記載されています。
上記の「都民ファースト」を実現するためには、既得権益を打破する必要があり、「情報公開(見える化)」という仕掛けや、しがらみのない議員による「議会改革」が必要でした。
つまり、
これまでの都政⇒情報公開(見える化)⇒議会改革(チェック機能の強化)⇒賢い支出⇒都民ファーストの都政
という流れで改革を起こしていこうということです。
2.都民ファーストの都政は実現しているのか
ここで都民の皆さんにとって一番気になるのは、「で、都政改革はどれだけ進んだの?」ということだと思います。
率直に言うと、半歩前進と言うところです。
3年前(当選直後)の決算では、数値を聞いても出てこない、成果を問われても測っていない、そんな事業ばかりでした。また、議員の顔色ばかりうかがっている職員さんも多かった気がします(あくまで主観です)。
それに対して、今年の決算の準備をしていると、数値や成果を手元の資料としてもって意見交換にくるようになりました。「情報公開(見える化)」に耐えられる準備ができてきたというところでしょうか。
2020改革の柱の一つに「自律改革」という内容もあり、職員自らが変えていくことを目指しています。
アフリカのことわざで「早く行きたければ一人で進め、遠くまで行きたければ皆で進め」というものがあるそうですが、2020改革は、遠くまで行く(大きく変化させる)ために、あえて皆で進む方法を選んでいるということです。
都庁職員自らの意識の中に「情報公開(見える化)」が定着してきたということは、次の段階である「賢い支出」やその先にある「都民ファースト」の都政へ進む下準備ができてきたともいえます。
3.情報公開すると見えてくる不都合な真実
情報公開(見える化)をすると、不都合な真実も見えてきます。
- お金をかけているのに効果が出ていない事業
- 新しいビジネスやサービスの障害になっている規制
- 海外との競争において圧倒的に不利な税制
などなどです。
こうした不都合な真実を乗り越えなければ、真の都民ファーストにはたどり着けないわけですが、これまでの取組を否定するには、まず自己否定をする勇気を持たなければならない上に、その恩恵を受けていた人たちからの批判に耐える胆力を持たなければなりません。
とある市では、毎年敬老の日に配っていた紅白まんじゅうを中止としようとして大反対運動が起こったというのですから、行政職員にとって、今までやっていたことを変えることは大変なことだと理解する必要がありそうです。
また、東京というよりは日本全体の規制や税制をみていくと、社会の変化とともに生じる要望などに対して、制度そのものを見直すのではなく、整合性を図りながら上乗せをくり返してきた結果、あまりにも複雑な制度が出来上がってしまったともいえます。
頭が良すぎるといいますか、軋轢から逃げてきたといいますか、いずれにせよ複雑怪奇な制度が意欲ある人たちのチャレンジを阻んでいることは間違いありません。
4.真の都民ファーストとは何か
やっと本題にたどり着いたわけですが、真の都民ファーストを考えるうえで欠かせない視点は、将来世代も含めた都民ファーストになっているのかという視点です。
サービス業では「お客様が第一です」と掲げて成功している企業もあるとは思いますが、企業と行政の一番の違いは、お客様(都で言えば都民)がサービスを選べるか選べないかの違いです。
企業であれば、目の前のお客様の要望を叶えていけば、お客様に選んでもらうことになるのでしょうし、それを原資にして次のサービスを展開していくのですから、それが本筋といえるでしょう。
しかし、行政が目の前にいる人の要望に応え続けたとしたらどうなるでしょうか。目先の利益を守る規制が、将来世代のチャレンジを阻む制度になるやもしれません。これまでの取組を残そうとした結果、都債(都の借金)を発行することで将来世代の税負担を大きくしてしまうかもしれません。
そうした視点ももったうえで、
- エビデンス(客観的事実)に基づいて、真に必要かつ効果的な施策に的を絞る(賢い支出)(量だけでなく質の視点をもつことが重要!)
- 予算のいらない成長戦略である規制緩和を聖域なく行う
- 海外諸都市と比較した税制の見直しを行う
ことが必要だということです。
5.余談になりますが
私が無所属にこだわっている理由の一つに「イデオロギーに左右されずに課題解決に注力したい」ということがあります。どの政党を見ても、言っていることは同じなのに、イデオロギーや好き嫌いで対立しているように見えてなりません。
9か月後の都議選に向けて、都議会では、「私がやりました」という予算の奪い合い選挙が激しさを増していますが、新型コロナの影響で厳しさを増していく財政状況に鑑みて、真の都民ファーストを考えたときに、無くすべき施策や廃止すべき規制、減らすべき税金という観点から東京都の取組を総点検していきたいと思っています。
ご興味ある方がいらっしゃいましたらお声がけください。5000にも及ぶ事業がありますから、3人では絶対にできない総点検になりそうです。でも、しがらみの無い私たちだからできる総点検にもなりそうです。
チャレンジャー求む!
です。
編集部より:この記事は、東京都議会議員、奥澤高広氏(町田市選出、無所属・東京みらい)のブログ2020年10月17日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおくざわ高広 公式ブログをご覧ください。