韓国に全く太刀打ちできない、日本のヘリ産業と無能な政府と防衛省の産業政策。

9月30日付けのJaen’s Defence Weekly では「Korean and European agencies on relocation of H155 helicopter production」という記事が掲載されています。エアバスヘリのH155の生産ラインを韓国の泗川のエアバスヘリとKAIの共同生産工場に移すということです。

エアバスヘリコプターのH155(Wikipedia)

韓国は自国生産のLUH、LAHはH155をベースにしており、これらに加えたポートフォリオを獲得したことになります。そして生産効率をたかめてコストを低減することだけではなく、エアバスヘリからの技術導入によってKAIはより技術を高めることができでしょう。無論LUHとLAHの輸出を通じてより多くのことを国際市場で学ぶでしょう。

韓国は2022年から韓国陸軍用に200機以上のLAHを生産、またエアバスヘリは300~400機のLAHを国際市場で売れると見込んでいるそうです。

これは日本のヘリ産業の凋落と好対照です。

本来陸自のUH-Xはエアバスと川重のジョイントベンチャーが本命でした。UH-Xをスプリングボードとして活用して、第二のBK117となり、内外の市場で1,000機以上を販売する予定でした。またそうであればスバルのヘリ部門は仕事を失ってヘリメーカーが2社に集約され、その後の集約も射程に入るはずでした。そうであれば国内外の市場で日本のヘリメーカーの生き残りはかなり現実的になったはずです。

ところが取材する限りでは高価な米国製の兵器を買うために官邸と一部の内局官僚が組んでこの話を潰したようです。

このため防衛省におんぶに抱っこの、子供部屋おじさんみたいな3社体制(エンジンは2社)が維持されることになりました。自衛隊以外の内外の市場にでることは夢の夢となりました。それは市場における厳しさを通じてメーカーの体質改善をする機会でもありました。

我が国のヘリ産業は日本政府と、防衛省によって座敷牢に閉じ込められて、緩慢な死を迎えるでしょう。それまでまた膨大な税金が空費されることになります。そして産業の資源も食いつぶします。

ヘリ産業の自立は日本の航空産業にとって大きな前進となるはずでした。韓国政府と比べると余計に日本政府と防衛省の無能が際立ちます。

Japan In Depthに以下の記事を寄稿しました。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2020年10月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。