地方創生の專門家を、自治体に派遣する「地方創生人材支援制度」という取り組みがあります。これは東日本大震災で若手官僚が被災自治体に派遣され、副市長等で活躍したことから、当時の地方創生担当政務官であった小泉進次郎議員が立ち上げに尽力した制度です。
RCFも制度立ち上げに関わり、RCFからも派遣実績がありますが、7年目となる令和3年度の派遣の準備が始まりました。
今は官僚だけでなく、民間人材も多く派遣されています。民間から自治体幹部に登用される代表的なこの制度について、紹介しておきたいと思います。
地方創生人材支援制度とは何か
地方創生人材支援制度とは、国家公務員、研究者、民間人材を、地方自治体に派遣する取り組みのことです。基本的には人口10万人以下の市町村が対象であり、副市長、幹部職員、顧問など地方創生の幹部人材として首長の補佐のために派遣されます。
民間人材については10万人以下の縛りが取れたため、より幅広い自治体への派遣が可能となりました。
幹部といっても、直接の部下をもたないスタッフ職としての採用が多いです。ある程度国や民間企業などとのネットワークを持ち、首長はもちろん市町村の部課長を説得できる力が必要になります。
まったく新しい地域に行くよりも、ある程度その地域と関係を有していて、地域側の民間人材などとのつながりもあった方が望ましいでしょう。
どのようなスケジュールで進むか
今年で言えば11月6日までに、市町村から派遣希望を国に提出することになっています。その後、おおむね来年の4月までに実際に派遣されることになります。
市町村からは、やはり官僚の派遣を期待されることが多いですね。自治体はなかなか独自の予算(単費)を使うことはできず、政府の予算を当てにします。政府の予算動向を把握でき、またその予算確保のイメージができる国家公務員が望ましいわけです。
ただし、最近世間にも知れ渡ってきましたが、官僚の人員は近年増えておらず、また若手の退職が増加しています。しかし官僚が直接担う業務は増える一方です。そのため、各省庁は職員の派遣を抑える傾向にあります。そこで最近は、民間専門人材派遣の割合が増えています。
派遣されるのは誰か
来年度に向けて、地方自治体からの要望があれば人材を派遣してもよいという企業は、53社あります。表をみてわかるように、旅行、広告、コンサルティング、通信といった業種が増えています。いずれも地方自治体との業務を拡大している業種であり、社内人材の育成や、政府や自治体とのネットワーキングの目的で派遣しています。
RCFも以前から派遣協力を続けています。非営利組織としては、唯一となります。大手企業に比べると人材に余裕はありませんが、地方創生・復興の專門団体として、可能なかぎり地方自治体に協力できればと考えています。
NPOと行政の人材交流は進むか
NPOと行政が、人的な交流を行うことは重要だと考えています。行政側も、地域の社会課題解決を行うには役所だけでは限界があり、非営利組織の仕事の進め方を理解する必要があると気づくようになりました。実際、新公益連盟では奈良市役所からの出向者を受け入れています。
NPOにとっても、政策提言を進める上では自治体の仕事を知る必要があります。またRCFもそうですが、行政との協働について知見を深めつつあるNPOも増えてきました。そうした団体から、行政に人を派遣できるような流れを作りたいと考えています。今は地方創生、観光、プロモーションといった領域で人材が求められていますが、今後は地域NPOの育成や、環境政策、教育といった分野でも、NPO人材が求められることは間違いありません。
こうした行政とNPOの人材交流に関心ある自治体やNPOの方は、ぜひお声掛け頂ければと思います。
参考記事
編集部より:この記事は、一般社団法人RCF 代表理事、藤沢烈氏の公式note 2020年10月25日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は藤沢氏のnoteをご覧ください。