これを書いている11月4日の西海岸時間の午後で大統領選の行方は明白になっていません。票読みからは直接的には接戦のネバダ州の結果がモノをいう気がしますが、接戦州でのカウントにクレームはしやすく、何とも言いようがありません。ここではあえて予想を封印します。
私個人はトランプ氏が継続すべきだと思っていますが、このブログでは私の希望とは別にアメリカの世論の動向を様々な報道や市場の動きなどを通じて測ってきたつもりです。そしてその大半はバイデン氏が勝つというもので各メディアはあらゆる手段を使ってその予想を立ててきました。
我々は希望的観測として各候補の肩を持ちながら「トランプ有利」「いや、やっぱりバイデンだよ」と論じてきたわけです。ただ、我々の手元には二次的データしかないのです。特に私はトランプ氏がコロナにかかった際、これは事実でしたので、「万事休す、勝負あったり」と考えておりました。しかし、そこからの追い上げは驚くべきタフネスさがあったことに感銘すら受けました。予想がいかに難しいことか、あたらめて感じております。
それをどう読み取るか、もちろん、鋭い方もいらっしゃいます。メディアの分析そのものがバイアスのかかったものだから信じられないという方もいらっしゃいます。ですが、選挙前に生データを分析することはほぼ不可能であり、現地事情に詳しい専門家の意見やコンピューター解析に頼るしかなかったわけです。
その点からすれば8割の専門家が今回の予想を外したと言ってよいでしょう。少なくともこれほどの接戦になるという声はマイナーなものだったのですから。
市場の動きも予想とは程遠いものになりました。先週までのナスダックを中心とした大幅な株価調整はなぜだったのか、そしてこの3日間の爆発的な株価の暴騰は何なのか、では大統領が決まったらどうなるのか、どう説明するのでしょうか?市場は割と正しい判断を映す鏡だと思っています。
今この時点で後出しじゃんけんのようなことは書きたくないのですが、今思えば先週までの調整はバイデン大統領誕生を前提にGAFA解体や増税を含むリスク回避の「バイデン売り」をそもそも一年を通じて軟調とされる10月と相まって加速したということでしょうか?それが月明けと共に現実直視となり、どちらになってもこれでゲームは終わりという開き直り型の買いが入っているとも取れます。では以前お伝えした「噂で買って事実で売る」点についてはどうか、といえばその可能性は私は否定しません。
但し、トランプ氏が再選するというシナリオは市場は読み込んでいないはずですので、ここを読み解かねばなりません。一つはコロナ対策の経済支援策はかなり規模が小さいものになるし、コロナ対策そのものもワクチン頼みになるかもしれません。中国との対立が再び矢面になるでしょう。「事実で売る」可能性というよりここは季節の変わり目のような転換期ですのでいったんニュートラルにしてシフトを入れ替えるべきかもしれません。
前回の大統領選もヒラリー有利が最後の大逆転でトランプ氏本人すら驚いたぐらいでした。今回はメディアに洗脳されたところがある半面、「11月20日に78歳になるマスクをしたおじいさん」と「タフで力強く精力的に選挙活動をこなすパワフルな74歳」のどちらがアメリカの未来を支えるのか、一切の政治的配慮とコロナ対策を別にすれば自明の理であります。とすれば隠れトランプの声をあえて拾い上げなかった大多数のメディアの責任は大きいでしょう。
振り回された、そんな気がします。そして前回と今回、二度続けてこうなった点についてメディア攻勢をはねのけるトランプ大統領のチカラは恐るべしということかもしれません。非常に勉強させて頂いています。「諦めない」という言葉が今はぴったり来ます。まだ結果は分かりませんが、とても印象に残る選挙戦でありました。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年11月5日の記事より転載させていただきました。