ビジネスマンのトランプ大統領に対しては、理を説くよりも利を説いた方がいいのかな、などと思っている。
最後まで諦めない闘争心は大したものだが、トランプ大統領の物言いは如何にも粗雑で、乱暴極まりない。経済や数字には強いのだろうが、いわゆる文化人、教養人とは大分タイプが違うようである。
いわゆる理屈や道理をこういうタイプの人に説いても聞き入れてもらえないだろうから、そういう類の人には損得を説いた方が手っ取り早いことが多い。
トランプ大統領の粗野な言動が一つの引き金になって、アメリカの各地で群衆が騒ぎ立てたり、これが行き過ぎて暴動まがいの事件が頻出するようになったのでは、アメリカの国内での分断が益々深刻化し、やがて修復不可能な事態になってしまうことを恐れている。
ここはアメリカの共和党の皆さんの良識と良心に期待したい。
アメリカ大統領選挙における郵便投票制度の批判が行き過ぎて、アメリカの大統領選挙の仕組み自体を否定するようになったり、アメリカの司法制度全体に対する不信を煽りたてるようになったのでは、アメリカの世情不安が増すだけに終わる虞がある。
アメリカの世情不安を煽りたてるような物言いだけは、何としても止めさせなければならない。
トランプ大統領が今回の大統領選挙の勝利に固執するのは、大統領に就任している限りはあらゆる刑事訴追から免れることが出来るからだ、などという言説が一部で流布しているが、もし、それが多少とも真実ならば、トランプ大統領に一切の刑事訴追から免責する、という保証を与えるのも一つの方策かも知れない。
アメリカの政情不安が続くのは、決して好ましくない。
そろそろ共和党の重鎮の方々の出番だろう。
アメリカの更なる分断を回避し、アメリカを再び統一性のある強い国に変えていくための鍵は、バイデン候補のみならずアメリカの共和党の皆さんが持っているはずである。
まずは、平穏裡にトランプ大統領からバイデン大統領への円満な政権移行を実現すること。
そのためにこそ、アメリカは総力を挙げるべきだろう。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2020年11月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。