トランプ政権の閣僚メンバーを表した言葉は「3G」、ではバイデン新政権は?

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4年前のちょうど今頃、トランプ政権発足を前にこんな言葉がヘッドラインを賑わせました。
そう、「3G」―Goldman, Generals and Gazillionaires、トランプ氏が閣僚メンバーに指名した方々を表す言葉です。詳細はこちらをご参照下さい。

ではバイデン政権はというと・・・筆者なりに代表的な3名から考えてみました。

ロン・クレイン氏(首席補佐官、59歳)

・クレイン氏はハーバード・ロー・スクール卒、権威ある“ハーバード・ロー・レビュー”元編集長だった頃からバイデン氏と関りを持ち、バイデン氏が上院司法委員会委員長だった当時、主席法律顧問に就任。以降はクリントン政権で頭角を現し、ゴア副大統領の首席補佐官を務め、オバマ政権ではバイデン副大統領の首席補佐官エボラ出血熱対策責任者などを歴任。
妻のモニカ・メディナ氏はコロンビア・ロー・スクールで法学士を取得。弁護士で環境活動家でもあり、アメリカ海洋大気庁(NOAA)の法務顧問、国際捕鯨委員会(IWC)の米政府代表などを務めた。

アントニー・ブリンケン(国務長官、58歳)

・ブリンケン氏はNY市生まれ。父のドナルドは投資会社ウォーバーグ・ピンカス(現)の創立者の一人。小学校から男女共学のアイビー・リーグ進学向けの名門校ダルトン・スクールで教育を受けるが、母の再婚でパリへ引っ越す。ユダヤ系でホロコーストを経験した義父などの影響から、国際協調や人道支援に関心を高める。
・ハーバード大学からコロンビア・ロー・スクールを経て法学士を取得、NYやパリで弁護士経験を経て、1988年には実父と共に民主党のマイケル・デュカキス候補の選挙資金集めに奔走。クリントン政権発足後は国家安全保障会議に加わり、ブッシュ政権(子)では民主党側の上院外交委員会の首席専門委員を務め、バイデン氏と接点をもち、2008年に同氏が出馬した折には選挙運動に参加した。オバマ政権では国務副長官、大統領次席補佐官(安全保障担当)を歴任。

画像:ブリンケン氏、趣味はギターで自身のバンドAblinkenを率います。

(出所;State Department

妻は同じくオバマ政権で国務次官補(教育・文化担当)を務めたエバ・ライアン氏で、同氏もジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院 (SAIS)で修士号を取得したエリートである。

ジャネット・イエレン(財務長官、74歳)

・イエレン氏は2014年に女性として初めてFRB議長に就任しただけでなく、サンフランシスコ地区連銀総裁(2004~10年)としても女性初、さらに財務長官としても同称号を得るだけに、「三冠王」の言葉がふさわしいスーパーウーマン。
・イエール大学で経済学博士号を取得し、専門は労働経済学。カリフォルニア大学バークレー校のハース・ビジネススクールの教授を経て、クリントン政権時にFRB理事に着任し、大統領経済諮問委員会(CEA)の委員長も務めた。

画像:トランプ大統領の判断で1期目で無念のFRB議長退任を余儀なくされた後、財務長官として見事な復活を遂げる?

(出所:Federalreserve

・夫はご存知、2001年にスティグリッツ博士などとノーベル経済学賞を取得し、カリフォルニア大学バークレー校の名誉教授であるジョージ・アカロフ氏。
・出会いは1977年で、イエレン氏がFRBで勤務していた折、アカロフ氏も1年間と期間限定でFRBに在籍しておりランチで初顔合わせした。アカロフ氏によると、お互いひと目惚れだったという。イエレン氏が1978年からロンドンへ渡りLSEで職を得て、1980年にアメリカへ帰国しカリフォルニア州で勤務し始めたのは、愛する夫と足並みをそろえたためとみられる。出会ってから1年もたたずに結婚した事情も重なり、物静かな表情の下に獅子座の女性らしい燃え盛る意思の炎を隠し持っているようだ。アカロフ氏とは共著「Efficiency Wage Models of the Labor Market」もあり、経済界で最も成功した屈指のおしどり夫婦といっても過言ではない。

--以上を踏まえると・・・「3E」が当てはまるのではないでしょうか?

ここでのEは「The Established、The Experienced、The Encouraged」
つまり経験豊富(experienced)で、エスタブリッシュ(established)で、しかもパートナーに公私ともに支えられている(encouraged)。

特に最後はコジツケのように見えますので、他に良い表現があれば是非、ご意見お寄せ下さい!(どうでもいい話ですが、バイデン氏、イエレン氏、ブリンケン氏、クレイン氏と全員「N」の脚韻を踏んでました)。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2020年12月3日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。