
売れている理由はなんとなく分かった。ただ、好きかどうかで言うと微妙だ。これは完全に、自分の好みなのだけど。妻も同じ意見だった。
夫婦で、なぜ、私たちは瑛人にのれないのか激論したのだが、
「自分語りヒップホップに対するポップスからの回答」
というのが、その場で出た瑛人評でまだマシなもので。いかにも、地元の人が恋人のために作った曲のようにも聞こえる。妻は「歌が上手ではない、槇原敬之」と表現していた。毒舌すぎるだろう。
ただ、一つだけ確かなことは、ティーンズ(という言い方、かえってダサいな)を中心にこの曲でドルチェ&ガッバーナのことを知った人が結構な数、いるのだろうなということ。歌詞で大人の世界を知る、という。
ここで言う、大人の世界というのは、
「大人はそんなことするのか」
「なんて大人なんだろう」という話ではない。
たしかに、私たちは松任谷由実から「ユーミン信者たるもの、恋人と別れたら、ベッドの下に真珠のピアスを置くものである」と学び。杏里から「大人の男性は、別れたくない交際相手の女性に夜更けに電話するんだ」と、ピンキーとキラーズからは「アベックたるもの、夜明けにコーヒーを飲むんだ」と学んだ。私の少し後輩たちは、宇多田ヒカルから「キスというのは、煙草の味がするものなのだ」と学んだわけだ。
ただ、そういうわけではなく。ここでは単に、大人が使う、買うブランドを学ぶわけだ。私たちが浜田省吾の「MONEY」からメルセデスとドン・ペリニヨンというキーワードを学んだように(そういえば、会社員時代に、「ドンペリってシャンパンみたいな味がするな」と言った先輩がいた。元気かな)。もっとも、ベッドでドン・ペリニヨンを飲むと、こぼれるだろと心配してしまうのだが。小沢健二からは、プラダにはバッグだけでなく、靴があることを学び。私より少し若い人は、氣志團から「タクティクス」を学んだ。