回顧2020年:今年のつぶやき

初めての試みですが、一年の終わりを迎え、今年をつぶやいてみたいと思います。

コロナで振り回され、地球上のすべての人にとって忘れることができない2020年となりました。多くのニュースがコロナ関連でありましたが、あえてコロナが与件となり、不安と大きな変化の中で過ごさざるを得なくなったという意味から様々な現象が起きたのもこれまた無視できない事実。とすればコロナは社会や経済に構造的変化を与えたのかもしれません。ポストコロナは社会現象にも変異種がいろいろ出てくるでしょうが、亜種ならぬ亜流と主流はよく見極めることも大事になってきそうです。

では今年のつぶやきをお送りします。

マネー好きには歴史的な一年

(写真AC:編集部)

(写真AC:編集部)

日経平均は3月の底値から9カ月弱で約11000円、幅にして60%以上上昇、NYダウも概ね11000ドル上昇し、その幅63%程度、史上最高値を付けた金は4割上昇、ビットコインにおいては4.7倍に跳ね上がっています。コロナでそんな景気良い話がある筈がないと思った多くの売り方は買戻しをせざるを得なかったのが今年のマネー相場でありました。

その原動力は中央銀行による超低金利への長期コミットメント、政府がばらまいた各種支援金、そして在宅の時間を利用して投資をする「新カウチ族」の登場でありました。お金を使いたくてもロックダウンで人にも会えなければ洋服も靴もいらない、レストランに行けなければフードデリバリーという名の出前を頼むしかなく多少高い値段払ってでも懐は全く痛まないというのが今年の特徴だったと思います。

しかし、そろそろ考えなくてはいけないのは確定申告。政府支援金を貰ったはいいけれどそれは所得で税金がかかります。北米では日本のような「特定口座源泉徴収アリ」はないので20年末で多額の利益を上げた人は確定申告の際に多額の税金が発生します。そのために現金をご用意しなくてはいけないことで市場に与えるインパクトは無視できないと思います。終わりなき祭りはありません。宴の終わりにストーリーが生まれるのが歴史です。

安倍晋三氏のみそぎ

今年、様々な政治の話題があった中で奇妙に印象的だったのがスポットライトが消えた石破茂氏でありました。世論からはあれだけ高支持率だったのに場外に押しやったのは恐ろしいまでの二階権力でありました。石破さんが好きが嫌いかは別にして政治って誰が決めるのだろうと改めて考えさせられました。私は石破さんは次の選挙に向けて自民を割るぐらいの心構えがあるのか、見てみたいと思います。

多くの方はそれじゃ小沢一郎氏と同じじゃないか、とおっしゃるかもしれません。しかし時代も世代も変わりました。自民じゃなくても他に良いところがあればいいと思う新世代は着実に増えています。菅首相については私は当初から評価も期待も低かったのはこのブログをお読みの方はご存じかと思います。人事をやったことがある人ならわかると思いますがNO2はNO1には不向きなのです。裏方は表舞台を得手としていないのです。役者で裏方から大物になった人なんて一人もいません。仮に人事部長が決める首相人事なら菅総理は絶対にありません。私は麻生さんに1年中継ぎをしてもらい、次の総裁選までに競争力ある人材を育てるべきと申し上げました。なぜ麻生さんかといえば自民党は人がいるようで安倍さんが育てなかったツケが廻ってきたのです。

衆議院解散なんていう強気の姿勢はもはや風前の灯火で菅政権をどう失速させないかという守りの状態でありますがその中で菅総理が一番ナーバスになっています。各種世論調査でズバッと数字を見せられた今、菅さんは氏の政治生命で最も弱い状態になっています。そして派閥もないため消去法の選択で首相となった今、逆境には弱いということをさらしてしまいました。安倍さんは桜問題を踏まえてどうされるかわかりませんが、許されるなら外務大臣にでもなって外交だけでもサポートすべきだと思います。それが本当のみそぎではないでしょうか?

ひろの一年

しっかり乗り越えた、これが私の1年です。業績は年初目標を達成できませんでしたが種まきだけは十分にさせてもらいました。大崩れさせなかったというのが自己評価です。不動産事業が生業ですのでコロナが直撃し、一部のテナントには政府支援策が打ち出されるはるか以前に「賃料最大100%減額」など様々な支援策を打ち出しました。想定外だったのはそんなことをいち早くしたことでいろいろな方の評判になり、あちらこちらからお褒めを頂いたことでしょうか?ありがたく思います。

私どもの経営支援先事業は売り上げ前年比3-6割増となりました。昨年末に買収した日本の教科書輸入販売事業も逆風の中、積極営業攻勢をかけ、カナダの最東部プリンスエドワードから最西部のBC州ビクトリアまで販売網拡充をするなど十分に種を蒔きました。新規不動産開発事業も3本が進み、来年は佳境を迎えます。うち一つは小型ながら多分、世界でも前例がないスキームを編み出し、顧客と同意しましたので実験的事業を開始します。

多分、私の一年はクレージーだったと思います。一日も休まず会社に行き、週6日働き続けたのは単に業務のボリュームが多いというよりこの空隙こそ攻めの時と考えたのです。そして新たなる時代のデファクトスタンダードを考え巡らせながら先手先手で勝負をかけてきました。多くの事業者は守りの1年でした。もちろん、厳しい向かい風でしたがそれ以上に順風を吹かせれば追い風になります。例えばクレームに対して顧客の期待を超えた対応を即座に行う、そして顧客第一主義の姿勢を見せました。経営者はビジネスという戦場にいる以上、どんな弾が飛んできても前に進む覚悟を持ち続けなくてはいけないのです。

後記

私の人生観を通じた2020年は「大きく変わる前触れ」。コロナだけじゃなく、アメリカ大統領選挙にみたバトル、嵐の活動休止やAKBの紅白落選、有名人の自殺にみる音楽や芸能の変化、英国のEU離脱、香港弾圧、更には原油価格がマイナスになるという珍妙な事件もありました。すべては「今まであったことがそのまま続くわけではない」ことを示したと思います。大事なのは惑わされず、自分をしっかり持って信念を貫くことではなかったかと思います。本当に厳しい一年でしたが、全ての人にとって大きな教訓となったことも事実です。まだこの先はわかりませんが、しっかりと気持ちを持ち続けていきたいと思います。

多くの読者さん、そして数多くのコメント、うれしく思います。特に常連さんの辛口コメントやひとひねりした見解に私自身このブログの本当の面白さはコメントにあり、だと思っています。ありがとうございました。そしてよいお年を。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年12月31日の記事より転載させていただきました。