1都3県で東京だけ、外食産業雇用総数8割強の中堅企業を見捨てるのか

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昨春から家賃支払いモラトリアム法案を推進するにあたって、官邸を含む多くの与野党幹部議員たちとお話しをさせて頂きました。

初めは(与党も含め)感触も悪くなく、実現の可能性があるかと思われましたが、途中から自民党は全国一律の家賃支援に舵を切り、結果的に「一社600万円(最大)」が確定しました。最初に岸田さんが推進していたのは「一社300万円」でしたので、最後の最後で金額が倍増となり、サプライズ的に多くの小規模事業者や中小企業が恩恵を被る事となりました。

しかし、中小と言っても都心で3、4店舗以上を経営しているような企業や、中堅以上で月に数千万円〜数十億円単位の家賃を支払っているチェーンにとっては焼け石に水状態でした。

実は、5月27日の家賃支援・閣議決定直前の私の最後のお願いが「劣後ローンでの支援ではなく、全国一律で給付金を配るのならば、月に100万円まで上げなくても良いです!」というものでした。

どういう事かと言うと、「…月に半分の50万円で結構です。しかし、一社あたりではなく、一店舗あたりにして下さい!」と、公平性を促すものでした。

外食業界では中堅以上でも、小規模事業主と同じように、一店舗を出すにあたって多額の設備投資を行い、店長と従業員を育て、多くの食材を仕入れ、日々の接客を神経をすり減らしながら続けます。プラットフォームを作ってしまえば、後は人件費や固定費を(比較的)増やさずとも利益がどんどん伸びていくIT企業と違い、小規模も大企業もさほどコストや労力が変わらないのです。そして、労働集約型ですから、それだけ多くの従業員も抱えています。

つまり、コロナ禍で厳しいのは小も大も一緒。給付金という形を取るならば、少しでもフェアにして頂きたいと思ったのです。しかし、家賃支援に限らず、持続化給付金、各自治体の協力金、そして個人向けの特別定額給付金も同様に一律という形で進められてきました。


今回の緊急事態宣言の発令におきましては、そこはしっかりと審議して頂いたようで少しホッとしました。飲食店の営業時間短縮に係る協力金が「一店舗あたり」となったのです。

反面、非常に驚いたのが、その協力金を受け取れるのが「中小企業、個人事業主が運営する飲食店等」と限定されたことです(東京都)。これは何かの間違いなのかと自分の目を疑いました。(弊社は中小企業に分類されますが)

繰り返しですが、飲食業では規模の大小での設置・運営の大変さに大差ありません。また、政治家が常套句で言うように、打ち出される様々な支援策が最終的に雇用を守る為であれば(その理念は正しいのですが)、外食産業雇用総数の8割強を占める中堅企業以上を見捨ててはいけないと思います。

不思議なのは、他県ではチェーン店も含めて全店支援すると表明しているのに対して、東京都だけが中小企業と個人事業主に絞っているところです。

これが財政的な問題なのか、それとも他に政治的な理由があるのか分かりませんが、このまま変更しないとしたら小池さんにはしっかりと説明して頂く必要があります(まさか、この期に及んで人間関係のもつれがもたらしている原因だとは思いませんが)。

とにかく、日本の首都であり、見本であるべき東京都こそ、感染防止に協力する企業を積極的にバックアップする姿を見せてもらいたいと思います。


編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、元参議院議員の松田公太氏のオフィシャルブログ 2021年1月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。