気温変化とコロナの流行には緊密な関係があります

藤原 かずえ

古来より、人間が風邪をひきやすいのは季節の変わり目と言われています。

日本において太陽暦の春分・夏至・秋分・冬至のそれぞれの中間日は、季節の分かれ目として「節分」と呼ばれます。また、節分の次の日は、各季節が始まる日であり、それぞれ、立春・立夏・立秋・立冬と呼ばれます。

4つの節分のうち最も重大視されているのは、冬至と春分の中間日、すなわち旧暦十二月(丑)と旧暦一月(寅)を分ける丑寅(艮)であり、現在ではこの日を一般に節分と呼びます。古代人は、丑寅にあたるこの日に丑寅の方向(東北)から鬼が入ってくると考え、東北の方向を鬼門と呼んだのです。

この鬼こそが古代における感染症の象徴であり、祈祷により鬼門を封じることこそが古代医学そのものであったと言えます。

現代医学においては、季節の変わり目に脳がストレスを受けて自律神経が乱れることで体温調整に支障を来たすこと、および免疫力が低下することが知られています。季節の変わり目、特に気温が急に冷え込む季節の変わり目に風邪をひきやすいのはこのためです。

さて、感染症にかかるリスクが高い季節の変わり目は、実は新型コロナの感染リスクが高くなる時期と考えられます。以下、実証データを示しながら、気温変動とコロナ感染の関係性について検証してみたいと思います。

こちらのグラフは2020年秋冬における日最低気温の変動です。

まずホワイトノイズを除去するために中央7日移動平均を取ります。

ここで、各数値に対して前週の値との階差を取ると次の図が得られます。

この図から、2020年秋冬における週周期での気温の大きな低下時期は、①10月20日頃、②11月27日頃、③12月18日頃の3回であることがわかります。これらの時期に10日を加えた値(10日後)を新規陽性者数の変動グラフにプロットしたものが次のグラフです。

①は全国的に観測された第3波の立ち上がり時期、②は首都圏と西日本都市圏における立ち上がり時期の少し後となっています。③は全国的に観測された年末年始の新規陽性者急増の立ち上がり時期にほぼ一致します。もっとも気温低下の幅が大きかったので感染者も多くなった可能性があります。

また、これらの時期は、東京都の実効再生産数の急増が始まる時期と概ね一致します。

以上の事から、気温が-4℃から-5℃ほど低下する「季節の変わり目」が、秋冬におけるコロナ流行の大きな要因である可能性があります。

さらに、こちらのグラフは、2020年1~4月において日最低気温の前週との差を示したものです。

約-4℃低下する時期が2つ(a, b)ありますが、これはいわゆる第0波と第1波の立ち上がり時期とよく一致しています。

ちなみに7月初めから始まった第二波の要因は、6月下旬から起動された冷房によって、同様の気温変化が発生し、自律神経が乱された可能性があります。

あえて言わせていただければ、厚労省は、この最もシンプルで相関性が高く誰もが因果関係を納得できる仮説を検証する価値があると思います。もし、この仮説が真の場合、あらかじめ予測可能な寒波の到来前に集中して厳重な注意を喚起することで、極めて効率的かつ効果的に感染を抑制することが可能と考えられるからです。最もリスキーなほんの僅かな時期に限って各個人が鬼門をしっかりと閉めるのです。

1月末から2月初の最寒の季節を前に今が勝負だと思います。