「CiPマニフェスト2020」が公表されました。

Pop & Tech特区を形成するCiP協議会が「CiPマニフェスト2020」を発表しました。

東京港区竹芝にオープンしたスマートビルに産学連携拠点を開くことに伴い、過去5年の活動を総括しつつ、これからの重点プロジェクトを打ち出すものです。

当初CiPは10か条の「CiPビジョン」を掲げ、これを踏まえ活動を進めました。

「シリコンバレーとハリウッドの日本版融合」「コスプレが集いロボットが飛び交う基地」「21世紀の出島」「産学官のプラットフォーム」といった項目です。

CiP協議会 ビジョン10か条

そして2015~2017年を「ホップ」、2018~19年を「ステップ」と位置づけて、研究開発、ビジネス支援、ハブ、人材育成といった4象限でそれぞれプロジェクトを走らせてきました。

2020年からは「ジャンプ」です。これが今回のマニフェストとなります。

これまでの活動を土台に4象限をコンテンツ、ビジネス支援、人材育成、テクノロジーに整理し、新たな旗を掲げ、飛躍します。

右側のコンテンツとテクノロジー、つまりPopとTechに当たる部分は竹芝の場を本拠として進めます。
左側のビジネス支援と人材育成は、いわばヨコ展開。名古屋のインキュベーション施設「Station Ai」はじめ、全国・海外での活動にも力を入れるプロジェクト群です。
マニフェスト項目は以下のとおり。

1.コンテンツ 「チョモロー」

e-sportsからアニメ、お笑い、ミュージックライブなど次々に誕生するポップカルチャーやライフスタイルを変える最先端のテクノロジーの祭典、チョモローを世界中のコミュニティと一緒に開催します。

〇SYNC NETWORK JAPAN
コンテンツのグローバル展開を促進するために、海外イベンター、メディア、プロモーターとのネットワークを集約し、日本のコンテンツをグローバルに展開します。

〇クールジャパン中核組織
グローバルな展開を志向する多様なコンテンツをネットワーキングするクールジャパン中核組織を組成し、業界内外をクロスオーバーしたインバウンド、アウトバウンド施策を展開します。

〇アーティストコモンズ
アーティストの才能と魅力を広く知らしめ、その付加価値を最大化することを目的に流通用のアーティストIDを整備し、通信・放送の別なく、多様なコンテンツを有機的に連携します。

〇世界オタク研究所
オタクや愛好の対象となるコンテンツ、あるいはそれを支えるコンテンツ産業に関し、国内外の研究者や制作者、コンテンツ産業界が研究の成果や情報を共有する場を創ります。オタク文化の国際的研究機関を設立し、世界中の愛好家やコミュニティをつなげることにより、「オタク文化」に新たな発展をもたらします。

〇超人スポーツ
人の身体能力を超える力を身につけ「人を超える」、あるいは年齢や障碍などの身体差により生じる「人と人のバリアを超える」。こんな超人 (Superhuman) 同士がテクノロジーを自在に乗りこなし、競い合う「人機一体」の新たなスポーツを創造します。

2.ビジネス支援 「超起業」

ベンチャーキャピタルやメンターなど関係者との連携を通じ、共同カリキュラム作りやピッチイベント開催などの活動を進め、起業教育に熱心な学校のコミュニティを形成し、起業家の育成を推進します。

〇CiPファンド
ベンチャー投資を通じて、人材育成、起業支援によりデジタルとコンテンツの産業集積を図ります。

〇ステーションAi
経済、社会のデジタルトランスフォーメーションを推進するために、ステーションAiとともにスタートアップを創出育成し、世界から有力なスタートアップを呼び込む拠点の整備を進めます。

〇ものづくり×デジタル
新たなモビリティ、ロボティクスの創造に資する研究開発拠点や、XRの実装に寄与するテストベットを形成します。

3.人材育成 「超教育」

キャッチアップと世界をリードする取組の双方に取り組むために、IT教育のインフラ整備と、先端的なAI・IoT教育の開発を推進し、従来の学校の枠を取り払った学びの場「超教育」を実現します。

〇KMD
グローバルに活躍できるクリエイティブリーダーである「メディア・イノベータ」を育成するとともに、創造社会を牽引するための様々な活動をKMDとともに展開します。

〇iU
社会問題を解決するサービスや、世の中のニーズを先取りしたビジネスを創出するために、世の中にイノベーションを巻き起こす人材を育成する、新しい学びのプラットフォームをiUとともに産業界と連携して形成します。

〇CANVAS
世界中の子どもたちがつながって、新しい表現や、豊かなコミュニケーションを生み出し、新しい世の中を築くために、熱い想いをもった大人をつなぎ、日本中の全ての子どもたちがフルスイングできる環境を創ります。

〇ワークショップコレクション
点在するこども向けワークショップを一堂に集め、広く紹介する博覧会イベントを日本中で実施します。

〇オンラインワークショップコレクション
これからの学びと遊びの形として、オンラインを介した豊かな創造表現活動の発展と普及を目的に、造形・身体表現・サイエンス・デジタルetc…さまざまなジャンルのオンラインワークショップを一堂に集め、新しくこどものための創造・表現の場を創出します。

〇超eスポーツ学校
eスポーツを通じた教育の機会を提供することを目的に、同eスポーツの教育への導入に関心を持つ大学、専門学校、高等専門学校、高等学校、中学校、小学校によるコミュニティを形成し、共同カリキュラムの作成・提供、修了認定をはじめとする様々な活動を行います。

4.テクノロジー 「City & Tech」

ロボット、AI、IoT、5G、8Kといった先端技術を実装し、集積させたスマートシティを創り、世界に提示します。実験ではなく実装。分散ではなく集中。そうした都市モデルを日本及び海外に展開することも視野に入れ、活動を進めます。

〇スーパーシティ・ハブ
Woven City、バルセロナ、上海、深センなど、各国のスマートシティを連携するハブとなり、世界中のスマートシティのコミュニティを形成します。

〇IPDC
IPDCフォーラムとともに放送波を活用し、IP プロトコルによりデータを一斉配信する、IoT放送の基盤を形成し、普及を図ります。

〇デジタルサイネージ
デジタルサイネージ産業が直面する課題の解決し、新市場を創出するために、生活シーンにおけるサイネージ体験価値の向上をミッションとして、デジタルサイネージ・コンソーシアムとともに活動します。

マニフェストは以上です。
併せてCiPは当初のビジョンをリマスターするとしています。
具体的には項目10「海と空の窓口」に替えて、「超ヒマ社会の創造」を置くというものです。

AIやロボットが代表する技術の大群が押し寄せます。超ヒマ社会は、めくるめくエンタメ社会。超ポップ、超スポーツ、超教育、それらを活かす超都市。CiPは超ヒマ社会を創造する。
としています。

リアル拠点が完成し、CiP2.0のスタート。ご期待ください。


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2021年1月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。