湾岸エリアのマンションは、コロナで値上がりしている

ネット上で湾岸エリア(江東区、中央区)の中古マンション(総戸数200戸以上、築20年以内)の物件の騰落率のリストを見つけました。昨年10月時点ですが、軒並み20%以上の値上がりとなっています。

この湾岸エリアのマンションですが、コロナ禍で更に人気化する可能性があると思い始めました。

まず、通勤時間を短縮したいというニーズがこれから高まると思います。リモートワークで郊外や地方に引っ越す人がいる一方で、通勤が避けられない仕事をしている人は、オフィスまでの距離の近い場所に住みたいと思うようになります。一部の人たちは、住居の利便性ニーズが高まることが予想できます。

また、それと同時に住居スペースも広さを求めるようになります。在宅ワークを一部取り入れることが当たり前になれば、自宅にいることが多くなり、家族全員が一日中家で過ごすことも珍しくなくなります。子供部屋が必要なのと同じように、在宅用の仕事部屋のような場所が必要になってくるのです。

利便性が高い場所というと、港区が理想的ですが山手線の内側のような都心部も価格が高騰しており、手を出せる人は限られています。

となると、割安感のある江東区、中央区の湾岸エリアのマンションが注目されるようになります。

夕暮れ時の豊洲(T-Tadanobu/iStock)

豊洲、有明、晴海といったエリアでは新築マンションが坪単価400万円台の物件もあります。100平米なら1億2000万円という結構な金額になりますが、もう少し狭い部屋なら1億円前後で購入可能です。港区の物件は60平米くらいで同じ価格ですから、比較すれば割安感を感じると思います。

このような高額物件は、パワーカップルと呼ばれる夫婦2人が高収入の人たちが主な購入者です。また、相続でまとまった資産を手に入れた人なども、資産を売却してマンションを購入するケースも多いと聞きます。

需要は高まると思いますが、大規模マンションを販売しているのは、大手のデベロッパーが多く、在庫が増えても売り急がないため供給過剰になりにくいマーケットです。需給環境が悪化する可能性も低そうです。

コロナ禍で東京の不動産価格は大きく下がるという予想が多かったのですが、今までの動きを見ると真逆になっているようです。東京オリンピックの開催の有無には関係なく、この傾向がこれからも続くというのが、私の見立てです。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年2月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。