iU、開学してみた。半年たった。

iU、またの名を情報経営イノベーション専門職大学、開学から半年。
250社の連携企業や300人の客員教員らにオンラインで報告する機会があり、お話し申し上げました。

情報つまりICT、経営つまりビジネスで、イノベーション、革新を起こすプロ、専門職を育てる大学。
全部つなげて情報経営イノベーション専門職大学。
正式名、iU。では認可が下りないので、日本一長い名をつけた。
世界で初めて大学名にイノベーションを入れた。
でも長いので、あくまで名前はiU。

5点を実行します。

1.ICTとビジネスと英語でいく。
よそにないカリキュラム。

2.企業「で」学ぶ。
大学でありながら企業、という環境。
学生全員が半年インターン。

3. 企業「と」作る。
教員27人の8割が産業界出身。
プロフェッショナルが教える。
連携企業は既に250社。まだまだ増える。

4. オンライン教育を徹底。
コロナでオンライン開学だったが、準備していたので混乱なし。
一方キャンパスは、ビジネス構築やモノづくり、リアルじゃなきゃできないことをやる。
今閉めている大学が多いが、iUは6月からオープン。
ただ授業はオンラインを継続。学生もあちこちバラバラでPCで受講中。

5. 東京に2つの拠点を置く。
本校舎は墨田区スカイツリーのそば。壁のない開かれた環境。
港区の竹芝にサテライト。スマートシティの産学連携特区。
上階はソフトバンク本社が入居し、5Gやロボット、AIの施設整備をともに進める。
平井卓也大臣からデジタル庁と連携することを要請されています。

以上の5点はもうできた。これだけでも画期的だけど、さらに5点に挑戦します。

1.客員教授、100人。
人材のプール。100人という目標を立てていたら、客員が友だち連れてくる。最近は学生が連れてくる。
300人になってしまった。
学生は一学年で200人なので、学生よりも教授のほうが多い大学。

2. 全員入社。
全員が入れる会社i株式会社も作る。学費をみんなで稼ぐ。

3. 全員起業。
学生全員が4年の間に、一度は起業に挑戦する。世界初でしょう。
起業にみんなが成功したら就職率はゼロ。
目標、就職率ゼロ。
でも9割は失敗するでしょう。失敗するほうが学べる。
別名、失敗大学。

4. 教育特区。
竹芝CiPは国家戦略特区の認定を受けているが、墨田の本校舎も特区を目指したい。
特殊な電波を使える電波特区、著作権フリーのアーカイブ特区、ロボットが働く特区、留学生のビザ特区。

5. 海外提携。
海外の大学と提携を進め、行き来できるパスポートを作る。

既に各種プロジェクトが走っている。
起業支援。「超起業学校」というアクション。
大学、高専や高校のコミュニテイを作る。起業家やコンサル、VCをマッチングする。
eスポーツ。日本eスポーツ連合などと連携し、大学から小学校までの学校と研究者によるコミュニティ「超eスポーツ学校」も発足した。

iUはeスポーツなどの部活動を推奨する。
ぼくが自ら作りたいのは「運動部」。
運動といってもスポーツじゃなく、学生運動。
ステイクホルダーである学生は主体的に大学運営に口を出していい。
ヘルメットとマスクとサングラスは支給する。ゲバ棒は怖いから支給しない。
学生が自分の大学を作れ。

認可は遅れたが、初年度、結構な競争率だった。そして予想外の学生が多い。

・大学をやめてきた
慶応やら何やらいい学校をやめてきた学生が何人もいる。
既存の大学に飽き足らないのね。

・親子入学
父親と息子、母親と息子、2組。
こういう需要があるとは。親子コース、作るか。

・「反対する親を説得して入った」
多くの学生がそうだと聞く。申し訳ない。ありがたい。頼もしい。

・「もう起業させろ」
3年でインターン、4年目に起業、と設計していたが、1年生でもう起業させろ、っていう学生もいて、既に起業したのもいる。
学生たち、思ってたんより、おもろい。

企業・客員のみなさまへ、お願いが2点あります。

・あそんでください。
大学は使えます。ぼくがいたMITもスタンフォードも企業が使い込んでいました。日本は断絶しています。

・評価してください。
厳しくダメ出ししていただきたい。鍛えていただきたい。そうして強いコミュニティに育ちたいです。

開学2年目のiUを、よろしく。


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2021年2月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。