ネガティブ・スパイラルから抜け出すための「2つの言葉」

心というのは、一旦ネガティブな方向に傾くと、それがまたネガティブな方向を加速してしまうことが多いものです。そんな、ネガティブ・スパイラルから抜け出すには、どうしたら良いのでしょうか。私がやっている方法の1つは、行動を変えるきっかけにできる「言葉」を思い出すことです。

Fokusiert/iStock

ネガティブ・スパイラルから脱出するための言葉は、2つあります。

1つは「過去と他人は変えられないが、自分を変えれば、未来が変わる」です。

これは、東北の陸前高田にある八木澤商店の河野会長の講演で教えてもらいました。過去を悔やんでみても、それはもう変わらない。他人を変えようとしても、思い通りにはいかない。そんなことをする時間があったら、自分の行動を変えて、それによって未来を変えることに時間を割いた方が良い人生にできるという教えです。

東日本大震災で大きな被害を受けて、精神的なダメージを受けた時、起こってしまった震災についてあれこれ考えたり、他人のせいにしても問題は解決しません。自分でこれからどうするのかにフォーカスしていく。そんな気持ちの転換ができれば、未来に対する希望が湧いてきます。

そしてもう1つは「事実は1つ、解釈は無限」です。

物事は上から見るか、下から見るかによって見え方が変わってきます。しかし、その存在自体は、1つの事実に過ぎません。自分自身がどう見るかによって、ネガティブにもポジティブにも、考えることができるのです。

例えば、トラブルに巻き込まれたら「運が悪かった」とネガティブに捉えることもできます。しかし「最悪の事態にならなくて良かった」とポジティブに捉えることができれば、前向きに考えられるようになり、精神衛生上も良いのではないでしょうか。

ここに書いたようなことは、理屈ではわかっていても、人間の行動というのは簡単には変えられないというのも良く分かります。でも、考え方を知り、それを頭の片隅に置いていくだけでも、少しずつマインドが変わるきっかけになります。

心の持ちようをどのようにするかによって、その人の人生は大きく変わります。出来る限り、良い方向にできる姿勢を持つように心がけたいものです。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年3月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。