呉座勇一さんのツイートが炎上して謝罪に追い込まれた。彼はアゴラでも八幡さんと炎上騒ぎを起こしたことがあるが、元のツイートはこんな感じで、大した話ではない。
この騒ぎが大きくなったきっかけは、NHKが呉座さんを大河ドラマの時代考証からおろしたことだ。これは本人の申し出ということになっているが、「NHKに抗議しよう」というツイートがたくさんあり、電凸が来たことがトラブルの原因と思われる。彼の勤務先の国際日本文化研究センターが「厳重注意」の処分を発表したのも、電凸が原因だ。彼のツイートは個人的なもので、内容も彼の専門とは無関係なので、これは筋違いである。
森発言から始まった「ミソジニー」騒ぎ
こういう騒ぎは森喜朗氏の事件から一連のものである。これ自体は差別発言ではないが、一部のフェミ界隈がこれをミソジニー(女性蔑視)やジェンダーなどの大げさな言葉で騒ぎ始めた。
次いで東京オリンピックの開閉会式の演出統括だった佐々木宏氏が、渡辺直美さんをブタにたとえた昨年3月のLINEのメッセージを週刊文春に書かれた。この発言には渡辺さんが「私はこの体型で幸せ」として佐々木氏を擁護するコメントを出したが、彼はクリエイティブ・ディレクターを辞任した。
テレビ朝日の「報道ステーション」のCMも炎上した(これも元の動画は削除されている)。「ジェンダー平等は時代遅れ」というのは意味不明だが、意味不明なCMなんていくらでもある。ジェンダーだけが炎上して、テレビ朝日が謝罪するのもおかしい。
言葉狩りに安易に謝罪するな
以上の騒ぎが、ここ1ヶ月ほどの間に起こった。いずれもツイッター発の騒ぎで女性差別にからみ、当事者が職を追われるなどのペナルティを受けたことが共通している。いずれも些細な話で、ちょっと前ならツイッター上の騒ぎで終わっただろうが、それがネットからマスコミに延焼するのも共通点だ。
これは最近はやりの言葉でいえばキャンセルカルチャーである。昔の「言葉狩り」と同じだが、差別発言を糾弾して所属する組織から追放(キャンセル)させようとするのが特徴だ。昔のタブーは部落差別と韓国人差別だったが、今は女性差別である。
役所や企業は「差別」という言葉に弱い。昔は部落解放同盟が役所に押しかけて1日中糾弾集会をやるなどの騒ぎがあったが、最近は解放同盟の代わりにフェミの電凸が企業の悩みの種だ。差別用語については役所やマスコミも自衛して放送禁止用語などをつくったが、女性差別というのはほとんど意識していないので、いくらでも騒ぎを起こせる。
こういう風潮を助長するのが、企業の事なかれ主義である。その場をとりつくろうつもりで安易に謝罪すると、それが前例になって騒ぎが拡大する。アゴラも過去に慰安婦問題や蓮舫問題などで炎上したことはあるが、謝罪したことはない。謝罪するような記事は書かなかったからだ。企業はこういう抗議に対する窓口をつくり、安易に謝罪しないで当事者に事情を聞き、クレームに対しては毅然と対応すべきだ。
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