国連が世界各国の幸福度を数値化した「World Happiness Report 2021」が発表されました。日本は、前年よりは4つ順位を上げたものの、世界ランキング56位。トップになったのは、4年連続でフィンランドでした。
そもそも幸福度を数値化して、客観的に比較するのは簡単では無いと思います。また、同じ日本にいる人であっても、その価値観は多様ですから、国別にランキングすることにも無理があることは理解しています。その上で、このレポートを有効に活用する方法を考えてみたいと思います。
この調査では次の6つの要素を使って分析しているそうです。
1. 一人当たり国内総生産(GDP)
2. 社会的支援
3.健康寿命
4.人生の自由度
5.他者への寛容さ
6.国への信頼度
日本は、一人当たり国内総生産(GDP)や健康寿命では上位ですが、社会的支援、人生の自由度、他社への寛容さの項目が順位を下げているようです。
社会的支援とは、周囲の人との人間関係、社会とのつながり、対人的な信頼感、組織への信頼感、ボランティアのような社会参加から構成されるものです。都会はともかく、日本全体では人間関係は決して希薄ではないものの、ボランティア活動などはまだ特定の人たちの世界に留まっています。また、身内には親切なのに外者には冷たいという閉鎖的な傾向もあると思います。
人生の自由度とは、社会に束縛されることなく、自分の選択で行動できることを指すと思います。社会的な規範が決められていて、同調圧力が強いという日本社会の特徴は確かに幸福度を低下させる要因だと思います。
さらに、寛容さ(generosity)とは、自分とは異なる価値観を受け入れる器の大きさになるのでしょうか。これも日本にいるととても窮屈に感じるかもしれません。ルールが暗黙のうちに決まっていて、それを逸脱するとバッシングされるような風潮は最近更に高まっているように思います。
このような環境の中で日本に住んでいて幸福度を高めるには、社会との関わりを積極的に進め、自分で意思決定できる立場になれるように努力し、社会の不寛容に対して不感症になるしかないと思っています。
日本人の多くの社会との関わりは仕事だけです。だから定年になって仕事を辞めると社会との接点が無くなって、孤立してしまう。定年前からそうならないための手を打っておくことです。
また、選択の自由や時間の自由を確保できるライフスタイルを実現することも大切です。仕事を選んだり、自分で時間の使い方を決められるようになれば、自由を実感できるはずです。
その上で、寛容度の低い人たちからどう思われてもあまり気にしない「鈍感力」を身に着け、人からどう思われるか気にしないことです。
四季折々の美しい自然があり、豊かな食にも恵まれた素晴らしい国にいても幸福を感じられないのは、本当に勿体ないこと。せめて、自分の心掛けでも少し変えてみることで、幸福度を少しでも上げていきましょう!
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年3月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。