世田谷区議会は、議員提出議案である「会議規則の一部を改正する規則」を可決した。これは、これまで出産を除き、議員が欠席する事由をすべて「事故」としていたものを、公務、疾病、育児、看護、介護、配偶者(届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるものを含む)の出産補助その他のやむを得ない事由、というように、内容が具体的に明記されるよう変更するものだ。
私自身は、公職にある者は出来得る限り欠席せず、予測可能な事態については、議会に支障が出ないようあらかじめ予定を立て、区民の皆様のご迷惑にならないようにすべきだと考えているが、やはり、病気や看護、介護などで休まざるを得ないことは起こり得る。このことを責めることはできないし、これらをすべて「事故」として扱っているのは、かえって区民に分かりづらい。こういう観点から賛成した。
本会議では、各会派から意見表明が行われ、わが会派(無所属・世田谷行革110番・維新=F行革)からは、賛成の立場で田中優子議員が登壇。これが驚きの内容だった。私が当選させて頂いた2019年の区議会選挙の直前、ある男性議員が「これが現職世田谷区議会議員50人の通信簿。」と題するビラを区内全域に配布したという。内容は、欠席日数の多い順に議員をランキングし、「あなたの税金を食い物にする公務怠慢ポンコツ議員」などと批判するもの。実は、「公務怠慢ポンコツ議員」とされた“通信簿”1位の女性議員は、ガン闘病のための欠席だった。そのほか、上位にランキングされた議員もインフルエンザ罹患など何らかのやむを得ぬ事情があったようで、このように悪意あるビラに利用されないようにするためにも、規則の改正に賛成するという意見だった(田中優子議員のブログ参照)。
私も聞いていて「これはヒドイな」と感じたが、賛成意見を表明した各会派も、男性議員のこのような問題行為を指弾した。
「これまで見受けられた欠席日数だけを取り上げ流布する行為は、人権を無視する行為となることは必然であり、当然今後は、あり得ない行為となります」(自民)
「そうした事実を単に欠席として取り上げ、ポンコツや公務怠慢などとあげつらい、それがさも罪であり、悪であるかの如く、 他者を貶める嫌悪感に向ける行為など絶対にあってはなりません」(公明)
「議員も何らかの理由で欠席せざるを得ないことがあります。その理由の如何を問わず、ただ長期に休んだことをもって公務怠慢、ポンコツといった言葉を用いて区民にレッテル貼りを促すようなことは、現代社会の中で許されるものではありません」(立憲民主・社民)
当然である。この討論を聞いて知ったのだが、驚いたことに、当の男性議員も議会を長期間休んでいたことがあったというのである。そうであれば、自分のことを棚に上げて批判するのは、あまりにも卑怯ではないか。議員の欠席日数やその理由が公けになることに異論はない。そして、有権者から議論が起こることも歓迎する。しかし、それはあくまで、事実が共有されていることが前提にされなければならず、そのような点からも、規則を改正することは有意義だろう。