菅さんが解散の大義を求めている、ということは明々白々だから、馴れ合い解散になるかも知れないぞ
未だ菅さんの進退が窮まっているわけではないが、菅さんが自民党の総裁選の前に衆議院の解散・総選挙を行いたいと思っていても何の不思議もない。
追い込まれ解散も任期満了解散もやりたくないというのは、多分、菅さんの本音だろう。
9月の自民党総裁選の前に伝家の宝刀を抜いて、自分なりの衆議院総選挙を戦ってみたいというのは、政治家の抗いがたい本能のようなものだから、解散の大義さえあれば菅さんは躊躇なく衆議院の解散に踏み切るはずである。
今は、解散の大義はどこにもない。
コロナ対策や間近に迫っているオリンピックをそっちのけにして解散だ、それ総選挙だ、などと言えば、何を無責任なことをやっているんだ、総理としての仕事をちゃんとやれ、と大方の国民から大変な叱責を受けることは必至である。
仕事師は、滅多なことでは自分から仕事を投げ出すようなことはしない。
菅さんが懸命に仕事をしようとしていることは、明らかだ。
かなり不器用なようで、世間に対してのアピール力はいまいちだが、それでも補正予算も令和3年度の本予算も、予算関連法案も着々と仕上げて、デジタル庁関連法案などの重要法案の審議もそれなりに進んでいる。
色々不具合なところも出て来ているが、それでも菅さんは菅さんなりに着々と仕事を進めている。
少なくとも、今は、自分の方から政権を投げ出すような状況ではない。
しかし、自分の方から伝家の宝刀を抜きたいという誘惑には駆られているはずである。
立憲民主党は内閣不信任案を出すと高言しているようだから、必ずこの通常国会のどこかで内閣不信任案を出す。
菅さんは、渡りに舟ということで、伝家の宝刀を抜く、ということになりそうである。
さて、その時はいつか、ということが問題になる。
公明党は文句を言いそうだが、国対の皆さんは、都議選との同日選挙を狙っているんじゃないかしら。
岸田さんの正念場ではあるが、日を追うごとに地元の選挙情勢は苦しくなっているようだ
いよいよ参議院広島選挙区の再選挙が始まる。
自民党も公明党も満を持して選挙戦に臨むのだろうが、SNS等から得られる情報から判断すると自公推薦の候補者にとってはとても楽観出来なるような生易しい選挙ではなさそうだ。
岸田さんには何とか頑張ってもらい、来るべき自民党総裁選のための足場をしっかり築いてもらいたいと願っているが、世の中には個人の力では何ともし難いものがある。
自公の組織選挙だけでは、所期の成果を収めることは難しくなっている。
候補者本人にどれだけの魅力があるか、若い方々や女性を陣営に取り込めるだけの独自のネットワークがあるかどうか、中間層・無党派層へのアピール力はどうか、世論はどう動いているか、等々の要素をよく見ておく必要がある。
選挙戦の巧拙もかなり大きく影響しそうである。
やはり、この選挙は、岸田さんにとって政治生命を左右するような重大な選挙であることは間違いない。
自民党のイメージを一新するような、清々しい選挙にしていただければ幸いだ。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2021年4月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。