なぜ菅首相はファイザー社CEOと対面会談できないのか?

菅首相は、バイデン米大統領と対面会談する初の外国首脳の座を勝ち取った。しかし、新型コロナウイルスワクチン供給をめぐり、米ファイザーとの交渉は、上手くいったのであろうか。

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遅れているワクチン接種スケジュールの改善の兆しは見えないが、打開策の一つは米ファイザーからワクチンを供給してもらうことだろう。

首相側はアルバート・ブーラCEOを滞在先のワシントンに呼び、対面会談を模索したようだ。しかし、1月中旬にワクチン担当に起用された河野行革相がファイザーとの交渉役に名乗りを上げると、ファイザー側は「首相を出してほしい」と強気の姿勢で臨んできたという。結局、首脳会談終了後、菅首相とブーラ氏を電話会談することになった。

訪米中に電話会談するくらいなら、首相自らがブーラ氏に会いにいくくらいの「積極外交」が必要だ。向こうが「首相を出してほしい」というならば、すぐに応じて、ブーラ氏ともう何度も電話会談している状況を訪米前に作っておくべきだろう。そして、訪米中に直接会う環境を醸成しておくべきなのだ。菅首相の帰国とともに、ワクチンを持って帰るくらいのことをすれば、国民の喝采を浴びるはずだ。

新型コロナ対策の肝はワクチン供給とその普及である。殆ど効果がない緊急事態宣言や、まん防を繰り返すよりは、ワクチン供給等を何よりも最優先すべきなのだ。

イスラエルなどは首相が早い段階から積極的に動き、ワクチン供給に尽力したという。日本の政治家にもこのくらいの積極性と先見の明、そしてずる賢さが必要なのである。

昨年の早い段階から、首相自らが積極的に動き、ワクチン供給のため全力を尽くすべきだったのだ。今更言っても詮無いことだが、一連のコロナ対策にしても、ワクチン対策にしても、後手後手感が否めないのである。