(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)
米国バイデン政権のジョン・ケリー大統領特使(気候変動問題担当)がオバマ政権の国務長官時代に、イスラエルによるイラン拠点への秘密攻撃の実態をイランのザリフ外相に教えていたことを示す音声テープが4月下旬、明るみに出た。
その結果、米国議会では共和党側からケリー特使に対して「同盟国であるイスラエルの秘密をテロ支援国家のイランに流したことは国家反逆罪にも等しい」という抗議の声が寄せられ、19人の上院議員がバイデン大統領に特別調査の開始を求めるにいたった。
ケリー氏がイランに情報提供?
バイデン政権全体を揺るがしかねないこの音声テープの存在は、4月25日付のニューヨーク・タイムズの記事で報じられた。最近のイランの国内情勢や対外戦略について伝えたこの長文の記事は、末尾に近い部分で以下のように記述していた。
「元米国国務長官のジョン・ケリー氏は、イランのムハンマド・ジャヴァド・ザリフ外相に対して、シリア領内のイランが関連する施設をイスラエルが少なくとも200回攻撃したことを伝えた。ザリフ外相はこの情報に驚いていた」