内閣官房参与で経済学者の高橋洋一氏(嘉悦大教授)がツイッターで各国の新型コロナ感染者のグラフを掲載し「日本はこの程度の『さざ波』。これで五輪中止かというと笑笑」とツイートして波紋を呼んでいる。この発言に対し、例えば公明党の山口那津男代表などは「医療の提供体制はかなり深刻な厳しい状況にある」「(国民に)どう受け止められるかにもう少し配慮してもらいたい」と述べ苦言を呈したという。
そして、高橋氏自身も「世界の中で日本の状況を客観的に分析するのがモットーなので、それに支障が出るような価値観を含む用語は使わないようにします」とツイートし「さざ波」という言葉を以後使わないという封印宣言をしている。
しかし、私は、高橋氏の「さざ波」発言は何ら間違っていないし、封印する必要はないと考える。先ず、言葉の解釈をしていこう。さざ波とは「水面にできる細かい波」「細かに立つ波」のことである。つまり、高橋氏は、今のところ日本における新型コロナ感染者数は、欧米などの諸外国に比べて、とても少ないことを主張しているのだ。そしてそれは、事実なのである。感染者数が低いことを「さざ波」(細かい波)と表現することの一体、何が問題なのだろうか?
高橋氏は別にコロナ感染者を馬鹿にしたわけでも、医療従事者に対し問題発言をした訳でもない。発言の意味としては、欧米に比べればコロナ感染者数は少ないですよと言っただけである。高橋氏は「世界の中で日本の状況を客観的に分析するのがモットーなので、それに支障が出るような価値観を含む用語は使わないようにします」と「さざ波」を封印するそうだが、「さざ波」という言葉が、なぜ客観的分析に支障が出るような価値観を含む用語なのか、私にはよく分からない。
客観的に各国の感染者数を分析した結果が、日本の感染者数が「さざ波」(少ない)だったということではないのか。今回の騒動、ちょっとした言葉狩りのようになっていて、私は違和感を覚える。高橋氏は内閣官房参与という立場があるので、批判を受けて、さざ波という言葉を使わないようにするのだろうが、さざ波という言葉が言葉狩りにあい「消える」のは残念である。