東京五輪を開催するべきか否か。保守派・リベラル派問わず、ネット上でも議論が続いている。概ね保守派は五輪開催、リベラル派は五輪中止を主張しているように思う。本稿では、いわゆる保守派の五輪開催論について考察を加えてみたい。
作家・ジャーナリストの門田隆将氏は「五輪開催を勝ち取った日本が欧米の何十分の一の感染で自ら返上なら世界の信頼喪失」として五輪開催を主張する一方で、「ザル入国で蔓延招いた菅首相、ワクチン接種で手腕を発揮できない河野太郎氏」「海外ウイルス流入に無頓着な菅−加藤−田村トリオに変異種封じなどできる筈がなかった」と入国規制を強化しない日本政府に対して激しい憤りを隠さない。
五輪返上の声止まらず。五輪開催を勝ち取った日本が欧米の何十分の一の感染で自ら返上なら世界の信頼喪失。「日本国民と外国人選手、どちらを優先して救急搬送するのかと声を荒げた蓮舫氏の質問などとても世界に聴かせられない」と島田洋一氏。共産党主導のツイデモ戦略に乗せられる国民の多さに啞然。 https://t.co/6SJZmoKlID pic.twitter.com/6ooAoksE3K
— 門田隆将 (@KadotaRyusho) May 14, 2021
ザル入国で蔓延招いた菅首相、ワクチン接種で手腕を発揮できない河野太郎氏、地元広島の選挙も勝てなかった岸田文雄氏…秋の自民党総裁選の人材不足に拍車がかかる。菅内閣の支持率は35%で就任後最低、不支持は逆に最高の43%。閉塞状況を打破し、出馬する人材はいないのか。https://t.co/uorAf9ijk7
— 門田隆将 (@KadotaRyusho) May 16, 2021
昨年1月から自民党本部最大901号室で繰り広げられた入国規制求める長尾敬氏らの追及は凄まじかった。だがそれを黙殺したのが当時の田村憲久・党コロナ対策本部長。詳細は『疫病2020』に。海外ウイルス流入に無頓着な菅−加藤−田村トリオに変異種封じなどできる筈がなかった。https://t.co/wY1nJf8X8I https://t.co/qj72ehD9I4
— 門田隆将 (@KadotaRyusho) May 15, 2021
また、ジャーナリストの有本香氏も、海外からの水際対策強化について政府の対応を非難しているが、一方では五輪開催を希望されている。
今ごろか、と言いたくなるが、スリランカ、モルディブ、バングラデシュも同じ扱いにしなしいよ。しかし、なぜこんなに時間がかかるの?
【速報】インドからの水際対策強化 日本人の帰国者除き入国一時停止へ(TBS系(JNN)) https://t.co/r3xC4hg1n0
— 有本 香 Kaori Arimoto (@arimoto_kaori) May 12, 2021
何と勁く聡明な人なのだろう。一貫して他者を思い遣りつつ、これほど見事に自身の考えや立場を説明できる人は滅多におられない。奇跡の泳ぎで我々に勇気を与えてくれた池江さんと、全ての五輪選手を、今は皆で静かに応援していきませんか。私個人は無観客でも東京五輪が開催されることを望んでいます。 https://t.co/JewQLsBijl
— 有本 香 Kaori Arimoto (@arimoto_kaori) May 7, 2021
作家の竹田恒泰氏も「入国規制緩和を見直さないといけない」としつつも、5月8日から「五輪開催署名活動」をスタートされた。
いま、技能実習生を入国させている場合ではないだろう。GoTo見直しより先に、入国規制緩和を見直さないといけない。#GOTO見直しより入国規制緩和を見直してください
吉村知事「自国のことは自国で守るのが重要」海外からの技能実習生17人が関空で陽性(MBSニュース) https://t.co/jBpkSLfVoi
— 竹田恒泰 (@takenoma) November 22, 2020
3人に共通していることは、入国規制強化を求めつつ、数万人が入国(一説には9万人)する五輪開催に賛成していることだ。
3人がなぜ海外からの入国規制強化を求めているのか? それは、脆弱な入国規制ではコロナウイルスが国内に持ち込まれる可能性が高いからだろう。ウイルスが持ち込まれ、感染が拡大し、場合によっては人が亡くなる。そればかりか、緊急事態宣言が発令され、国民が多大な自粛を強いられ、経済も疲弊する。こうしたことが連鎖反応のように起こるから、入国規制強化を主張されているのではないか。私はその主張に大いに賛同するものである。
しかし、数万人が海外から入国する五輪開催は、ウイルスを国内に拡大させる可能性が高いという意味で危険だと私は感じている。五輪の時だけ、ウイルスが流入しないということがあるだろうか?
これまで杜撰だった政府の新型コロナ対策が急にしっかりしたものになるとは思われないし、最悪の場合、国内に変異株が蔓延するばかりか、海外の五輪関係者が帰国後、自国にウイルスを持って帰る可能性もゼロではあるまい。
そうなると、日本人や日本政府が恨まれるばかりか、訴訟の対象になるかもしれない。よって私は、現時点で五輪を開催することは、国益にも世界の利益にもならないと思うのだ。
以上の私の考えを「科学的根拠がない」「妄想だ」「マイナスのことばかり言うな」と言う入国規制強化に賛成する開催派の人もいるかもしれない。しかしそうであるならば、少なくともその人は、入国規制強化の主張を取り下げてから反論するべきだろう。入国規制強化を唱えつつ、五輪で人が大量に入国することを良しとするのは矛盾ではないかと思うのだ。規制強化には賛同できるものの、その点だけは違和感を覚えるのである。危機管理の基本は、最悪の事態を想定することであろう。