今週のつぶやき:ワクワクしなくなった日経新聞ほか

今週は有名人の慶弔ニュースや熊田の夫DV逮捕、スポーツ選手の不倫といった私にはどうでもいいニュースがやけに目立ちました。もちろん、ファンの方には関心事だとは思いますが、所詮、知り合いじゃないのですから私には一行ニュースで十分です。海外に長いと社会面記事のニュースは日本のどこそこで火事があった報道より自分の住んでいるエリアの事件により興味が出ます。社会事件と自分の立ち位置の距離感がそのインパクトに反比例する傾向があるはずです。どなたか学者が研究してくれないかなと思います。

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では今週のつぶやきをお送りします。

株式市場は生き返ったか?

トロントの証券マン氏が「お前はこの株式ラリーがいつまで続くと思っているのか?」と聞くので「夏の終わりまで持ちそうだ」と答えました。北米に関しては経済正常化に向けて少しずつ階段を登っている状況で心理的には今が一番盛り上がりやすいのです。将来に向けた期待という意味でここで水を差す必要はないし、差してもすぐに蒸発するぐらいの熱量はあります。

では日本。先週、28500円を奪取しないと一人負けするかも、と申し上げました。28481円まで行ったのですが、その後、足踏みをしました。ただ、週明けには回復できそうでそうすれば直近の下落幅の半値戻し達成となります。異論百出ですが、オリンピックはどう見てもやるはずでワクチン接種が進めば世論の形成も変わってくると思います。逆に言えば安全安心なオリンピックをやれる環境が整えば3万円を超えて新高値をつける余力が出てきます。

今回の株式ラリーの裏側は商品価格の高騰がその支えとなっています。半導体、原油、鉄鉱石、木材…あらゆるものが高騰したことで消費に歪みが生じ、一部で過剰なストレス的需要がかかったことが原因です。ただ、いくらアメリカが給付金をばら撒いたとしてもそれで皆が億万長者になるわけではなく、この需要は一時的であって人不足、部材不足が解消すれば漸次収まります。FRBの「インフレは一時的」という意味はそこにあります。スーパーサイクルに入ったのかと言われますが、私はそうとは思いません。コロナ明けのお祭りで必ず「宴の後」があり、それは秋にやってくるのではと思っています。

ワクワクしなくなった日経新聞

別に日経新聞を批判しているのではありません。日経の記事、特に企業欄から「へぇー」という日本発の世界に向けた商品やサービスが出てこないのです。かつては世界中のメディアが注目するような発明、新商品、大規模投資が多く、「さすが日本、やるねぇ」だったのですが、近年、まったくと言ってよいほど出てこなくなりました。同様に日経ビジネスの記事ネタもかなり苦労していて、記者が一生懸命執筆しているのですが、ネタそのものが小さすぎて文字だけが踊っている感じがするのです。

なぜ、こうなったか、このブログで再三書き続けてきたのでそれは敢えて書きませんが、リスクと挑戦のバランスが悪くなったと思います。特に北米に見られる圧倒的資本力の時代の中、歯向かっても象とアリのような関係では話にならないわけです。人口も減少し、いわゆる積極的な消費をするアクティブ層が目に見えて減っています。4月の消費者物価指数は総合でマイナス0.4%、コアもマイナス0.1%です。ずっとマイナス。欧米はずっとプラス。この違いは単に人口が減っているだけではなく、人口バランスが悪く、消費の主導が高齢者、だから価格センシティブで物価が上がらないともいえるでしょう。「おじいちゃんはお金持ち」、これが今の日本です。

そうすると企業だって新しいものを作るより価格戦略に特化した方が良いわけで新規開発製品より新発売品をいかに安く見せるかという工夫をしたいという衝動に駆られます。中には内容量を減らして価格調整するケースもありますが、いずれにせよそういうのは英語でギミッキー(手品のような)という今一つ評価されない対応なのです。日経一面トップに大輪の花が咲いてほしいですよね。

文大統領は何しにアメリカへ?

バイデン大統領ももう少し近隣の友人との会合を優先すればよいと思うのになぜか菅総理に次いで文大統領がワシントンに降り立ちました。主たるテーマは見えています。アメリカが作業完了した「朝鮮半島非核化プラン」を文大統領に説明、説得するためです。その観点からするとバイデン大統領は菅総理に出したハンバーガーより厚遇し、気を遣うとみています。

その前哨戦は文-ペロシ下院議長会談で、わざわざペロシ氏の方から慰安婦問題で日本に謝罪を求めるアメリカの2007年決議を持ち出したというのです。慮る、という言葉が相応しいでしょう。文氏は特に問題視しなかったようです。バイデン氏が今回提案するのは北朝鮮だけではなく、「朝鮮半島非核化」に向けて駐韓米軍の核の傘の開示、撤廃を提示し、北朝鮮の核開発中止とのバーター取引をするというもの。これはいくら文氏が北に融和政策を取るとしても核の緊張関係が崩れる可能性があり、北朝鮮は核がなくてもソウルまで50キロ、国境に並ぶ兵器は射程距離だとすればかなり強引な提案に見えます。

もちろん、それが最終的に成功すればよいのですが、北朝鮮は核を持つことにより一定の存在価値があったと言えます。やくざから強面と暴力を取り去ったら何も残らないのと同じで北朝鮮というより金家にとってイデオロギーの問題になるでしょう。そういう意味では何か旨そうなものが出てきても文大統領が素直に頂くという心の余裕はないはずで、今回の訪米はシリアスだと思います。そして当然ながらそこには踏み絵が見え隠れしていて「中国とアメリカ、どっちを取るか、よーく考えてくれ」とごちそうの前で言われたらどんな食事でもフォークとナイフにも触る気は起きなかったかもしれません。

後記

イスラエルとパレスチナがエジプトの介入で停戦合意しました。パレスチナ難民キャンプに向かう私のシェアハウス在住のお二人も渡航延期を余儀なくさせられていましたが、近々に渡航できそうです。度重なる両者の戦闘は水と油の関係ながらも圧倒的戦力の違いで本気になれば戦いにならないレベルの差があります。特に近代兵器でミサイルを迎撃するシーンはまるでテレビゲームの感すらありました。そんなパレスチナに日本人が支援に行く姿勢はご立派です。安全にそして無事に任務を遂行してきてもらいたいと祈念しています。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2021年5月22日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。