自民党の簗和生衆院議員(42)=栃木3区=が5月20日の党会合で、LGBTなど性的少数者を巡り「生物学上、種の保存に背く。生物学の根幹にあらがう」といった趣旨の発言をしたことが分かった。これは、複数の出席者が翌日に明らかにしたという。
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簗氏は共同通信の取材に「会議は非公開のため、内容や発言について答えるのは差し控える」とのコメントを出したそうだが、同氏の発言は、私はアウトだと思う。ネット上では、同氏の発言を擁護するようなコメントも見られる。
それを要約すると、例えば「同性愛者だけの国があれば、子孫が生まれずに人類は滅んでしまう。それは自明のこと。何が間違いだというのか」というものだ。しかし、この擁護論は明らかに過剰であり、間違いだろう。先ず「同性愛者だけの国」というものが有り得ないからだ。有り得ないものを前提にして、擁護しても、それは何の意味もない。
簗議員はLGBTの人々を「生物学上、種の保存に背く。生物学の根幹にあらがう」といったというが、この発言はLGBTの人々に対して失礼な発言であろう。人間(生物)としての存在を否定する発言である。簗議員はLGBTの人々を目の前にしても、このような発言ができるのであろうか。
簗議員は一方で「LGBTなど性的少数者をめぐる理解の増進は必要なことであると考えております」とコメントしているというが、そうであるならば、最初からそれと矛盾する発言は控えるべきだろう。「理解の増進は必要」との言葉も、本心からそう思っているのか、疑問に感じてしまう。
「LGBTは道徳的には認められない」との発言をする会合出席者もいたようだが、私はそのような発言をする議員のほうを道徳的に認められない。何たる上から目線の発言であろうか。道徳とは「人々が、善悪をわきまえて正しい行為をなすために、守り従わねばならない規範の総体」のことである。LGBTの人々が一体、何か悪いことをしたのだろうか?男性が男性を、女性が女性を好きになって、それがどこが悪いのか?私には分からない。
LGBT問題に関しては、失礼な発言をした後に、取材や議論・会見から逃げ回る議員も多いが、議員ならば、正々堂々と回答するべきだろう。