内閣官房参与の高橋洋一氏が辞任した。それについて、菅総理は「自ら辞職したいということだった」「大変反省しておられた」と答えた。
また、高橋氏から総理に直接辞任の申し出があったのかについて問われると、「自ら辞職したいということだった。不適切な発言ということをご本人が取り消し、謝罪した中で、責任を感じたということだった」と述べた。
ここでいう不適切な発言というのは、高橋氏が緊急事態宣言について「欧米から見れば、戒厳令でもなく『屁みたいな』もの」と発信したこと。
また、5月9日にも日本国内の感染状況について「さざ波」と表現し、「これで五輪中止とかいうと笑笑」とTwitterに投稿したことだろう。
しかし、私はこの2つの発言は全く間違っていないと思う。つまり、辞任する必要はないと感じるのだ。緊急事態宣言が、欧米のロックダウンと比べたら「屁みたいなもの」なのは、ニュースを見ていたら、すぐに分かるだろう。何も間違っていない。表現が少しお下品かもしれないが、目くじらをたてる事だろうか。
「さざ波」発言もなにも間違っていない事も、以前、アゴラで私が論じた通りだ。「さざ波」を「大波」とでも表現すれば良かったのだろうか。しかし、感染者数が欧米から見たら少ないのは事実であり、少ないものは少ないと言うしかない。少ないものを多いと主張するほうが、不誠実であり、詐欺であろう。
政治家や知識人は、間違った事を言っていなくても、メディアや一部の人から攻撃されるとすぐに謝罪したり辞任したりするが、悪い癖だと思う。堂々と論陣を張って、メディア人と議論するくらいでなければならないだろう。この場合は、菅総理が高橋氏をしっかりと庇い、擁護しても良かったのではないか。
その点、大阪府知事、大阪市長時代の橋下徹氏は、凄いものがあった。メディアとも真正面から議論していた。やはり、政治家はそうでなければいけない。
もちろん、高橋氏は内閣官房参与という立場ではあるが、政治家ではないので、そこまでする必要はなかったのかもしれないが。自分の思うことを発信できる自由な立場に戻りたかったのだろう。