今週のつぶやき:投資におけるジャパンリスクほか

日本の皆様より一足先に当地での店内飲食が解禁になりました。迷わず選んだのは規制期間中、持ち帰り営業だけしかできず、とても苦しんでいた日本食の店です。「帰ってきたよー」。店主をはじめスタッフが笑顔で迎えてくれ、動きも心なしかきびきびしていたように思えます。明けない夜はない、必ずあの幸福の時は戻ってくる、店主もお客も裏切りません。日本の皆様、もう少しの辛抱です。

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では今週のつぶやきをお送りします。

投資におけるジャパンリスク

北米での投資歴が長い中で日本の株式市場を見ているとなにか心許ない時があります。なぜだろうと考えると市場の進化や成熟度と共に参加者のタイプが北米に比べ劣るのが理由の一つではないかと感じます。投資家のカテゴリーは6-7割の海外投資家、あとは国内機関投資家と個人投資家とされ、その投資姿勢のばらつきが少ないのも特徴です。また巨大なアジア市場が背景にあるのにアジアマーケットへのアクセスも極めて限定されています。つまりアジアの代表的市場でもないし、投資対象も少ないと思います。これならば選択肢が多く、様々なマネーが飛び交い、生き馬の目を抜く北米マーケットは戦略性が高い気がします。

もう一つは国際的企業へのアクセスかもしれません。NY市場なら世界の名だたる企業が上場していますので投資の幅も広くなります。日本市場の場合、ドメスティックな企業が多く、ジャパンリスクをもろにかぶってしまいます。結果としてボラ(変動幅)が高い相場つきになり、素人が手を出しにくく未経験者は投資信託に吸い取られていくように感じます。

東京市場の金曜日は大きく跳ねました。感染者のコントロールが見えたうえで五輪の可否が決まるであろう6月上旬に向けて上がっていくとみています。経済正常化が見える時期になれば新値狙いまで行けそうです。但し、踊り過ぎないように。北米は循環物色の傾向となっており、目が覚めるような上昇銘柄は少なくなってきています。ピークは遠くはないと思います。

台湾海峡が重視されるもう一つの理由

最近、中国問題に絡み、台湾海峡の安全が多くの二国間、多国間会議で取りざたされています。あまり成果がなかったとされる米韓首脳会議ですら台湾海峡の件だけはしっかり合意ができています。そのたびに中国外務省の報道官、趙立堅氏の細い目が鋭くぎゅっとにらみつけるような表情で感情の爆発をかろうじてこらえながら猛反発します。趙氏も毎度毎度お怒りと嫌味連発の会見ではひねくれた性格が元に戻らなくなるのではと勝手な心配をしております。

バイデン氏にとって中国の攻めどころはウィグルの人権問題、香港の民主性維持の問題、南沙の不法占領など、切り口はいくらでもありますが、台湾は死守、絶対に守らねばならない理由があります。それは産業がストップするからです。特に半導体のTSMCの経営が中国の傘下に入るようならば西側の先端産業は衝撃的なダメージとなります。TSMCは世界時価総額11位の巨大ファウンドリーで自社ブランドがなく、他社の設計に基づき、半導体製品を作る会社であります。同社の売り上げに対してアップルの25%をはじめAMD、ブロードコム、エヌビディア、クアルコム、インテルなどとなっており、同社がないとアメリカのテック系企業は壊滅になるほどであります。

つまり経済面というよりここまでくると社会、政治まで含めて台湾が無視できない状況になっているのです。その工場はアメリカにも中国にもありますが、主要工場は台湾です。「風が吹けば…」の話をすれば台湾海峡がきな臭くなればハイテク銘柄は大暴落、当然、株式市場全般目も当てられないことになります。中国は狡猾で香港はほぼ手中に収めました。私からすれば香港はかつての輝きを失いました。次はもう許さないと本気で立ち上がらねばなりません。日本も台湾に世話になっているのに支援の声がもう少し出てもよいと思うのですが。

海外駐在員は役に立たない?

今週号の日経ビジネスの「有訓無訓」で白木三秀 早稲田大学学術院教授曰く、「海外赴任するマネジャークラスの日本人はリーダーシップの能力が低い。他国の人材と比べても現地社員からの評価が低いという調査結果が出ている」とし、「海外赴任するとおおよそ役職は平均で2ランクほど上がる。一部門だけを見ていればよかった人が、突然、会社全体の人事や財務にまで目を配る必要に迫られるわけで海外赴任を機に突然やらされてもできない。積み上げてきた経験値が圧倒的に低いのだから」。耳が痛いです。

でもその通りなのです。私だって駐在員だったし、当然、多数の他社駐在員も見てきました。レベルは推して知るべし。理由はそもそも仕事なんてやる気ないし、ラインの仕事に手をかけようなら「邪魔だからゴルフでも行ってきて」と言われるのがオチです。私は人事政策もいけてないと思います。海外向きの人材はYKKがそうしたように一生そこで骨を埋める覚悟で行け、とするべきです。手柄を上げるまで帰ってくるな、です。

駐在員の3大関心事といえばゴルフ、本社の人事、子女教育だろうと思います。給与はローカル採用の何倍も取ってです。親会社も海外会社に手柄を上げさせるために追加出資なり社内ローンなり資金支援をしてでも事業を拡大させるという権限と失敗した時のムチをしっかり与えることが大事だと思います。ことなかれは減点、ちょっと失敗はプラス、成功者には本社社員がうらやむ報酬を出す、それぐらいのすごーい会社、ないものでしょうか?

後記

何故か知らないですが、私のヤフーのニュース欄は小室さんの話題オンパレード。最近は眞子さまへの風当たりも強いトーンの記事が増えてきたような感じがします。あまり興味がないのですが、純粋に眞子さまの姿勢はちょっと病的な傾注の仕方ですね。ロミオとジュリエットとも違いますし。今、どうこうするより、一旦、お会いになって二人でよく話し合われるのがベストのような気がします。こういっては申し訳ないけれど小学生か中学生の初恋的でマンガチック過ぎてしまいます。これじゃ映画のネタにもならないですね。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2021年5月29日の記事より転載させていただきました。