今週のメルマガ前半部の紹介です。れいわが主導する形で、野党が「期間限定の消費税引き下げプラン」で連携する流れが起きつつあります。あの維新も同調する向きがあるので何らかの形にはなるでしょう。
さて、ビジネスパーソン的にはこの動きをどう評価すべきなんでしょうか。そもそも「期間限定での消費税引き下げ」なんて可能なんでしょうか。いい機会なのでまとめておきましょう。
「消費税引き下げ論」と“れいわ”が共感されないワケ
近年、SNS上でいろんな識者が実名で言及するようになったからか、「社会保険料は労使折半と言われているけど、事業主負担は実質本人負担なので本当の個人負担は約30%」という事実は割と広まってきている印象がありますね。
と言われてもわからないという人は、会社から天引き分も含め毎月全額支給されて自分で振り込むシチュエーションを想像してみてください。
「はい、これはうちが君を雇うために負担している人件費70万円ほど。君はそれだけの働きをしているってことだよ。じゃあここから30万円程国に納めてきてね」
どんなに数字の苦手な人でも「ちょっとこれおかしいんじゃないの?」って疑問は抱くでしょう(苦笑)
ちなみに年齢や会社にもよりますが、だいたい所得税や介護保険料込みですでにサラリーマンは40%以上天引きされています。たぶん多くのサラリーマンは「自分は一生懸命働いているのに報われてないんじゃないか」という疑問を持ってると思いますが、その感覚は正しいです。
その原因ですが、消費税20%前後が常識の欧州を見てもわかるように、高齢者が増えたら「現役世代だけが負担する所得税や社会保険料」から「社会全体で負担する消費税」に軸足を移すのが常識なんですが、なぜか日本ではその真逆をやって現役世代をいじめ抜いてるからですね。
中でも100%所得をロックオンされているサラリーマンに負担が集中しているわけです。たまに「消費税引き上げこそ日本衰退の戦犯」って言ってる無職がいますが逆ですから。
【参考リンク】2019年の年金大改悪 給料の60%超が天引きされる異常事態も
年金定期便ですか?確かにあれには自己負担分しかカウントされてませんけどアレはそもそも「これだけの負担で将来こんなに貰えるんだ!日本に生まれてラッキー♪」と雇用所得者を洗脳するためのアジビラなんでスルーしといてください。
あ、ちなみに筆者だけが言ってる話ではなく、自営業のボスキャラレベルの人も身をもって実践されている“常識”ですね。
【参考リンク】日弁連会長が厚生年金に加入 指摘受け、先月手続き
一方で、世の中には(国民年金や国保の保険料は別途納めているとして)天引きが一切なく、普段の生活では消費税10%くらいしか負担していないという身軽な人たちも存在します。
無職の人や高齢者、士業みたいな自営業者がそうですね。れいわを支持して消費税の引き下げや廃止を熱心に主張しているのはこういった層でしょう。SNS上で彼らのアカウントを観察してみるとわかるんですが、社会保険料の「し」の字も口にしていないのがわかります。
消費税10%しか負担していない人達に「消費税廃止しよう!社会保険料?なにそれ?」って呼びかけられたら、普通のサラリーマンならどう思いますかね?筆者なら相当カチンとくると思いますけど。
消費税引き下げ論者はほぼ一律給付金の再給付論者とかぶっていますが、同じ理由で大方のサラリーマンは再給付には否定的ですね。じゃあ誰がそのコストを負担すんだと。は?MMT?妄想はいいからまずお前がもっと働けよ(笑)って普通の雇用労働者なら感じるでしょう。
たいして負担してない人達がさらに自分たちの負担を少なくしろと要求し、おそらくそのツケを被ることになるであろう大多数のサラリーマンが冷笑的に反応しているというのが、れいわの支持率が低迷する理由でしょう。
以降、
連合が「共産党との共闘は絶対に許さない」と言い切る理由
野党共闘を実現したいならこれを提言すべし
※詳細はメルマガにて(夜間飛行)
Q:「子会社への出向を受け入れるべき?」
→A:「筆者もすごく悩むと思いますがあえて言うなら……」
Q:「女性管理職を増やすためのアプローチとは?」
→A:「鍵は転勤制度でしょう」
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編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’s Labo」2021年6月10日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください。