人生を生きるのが楽になる魔法の言葉「長期は上」

黒坂岳央(くろさか たけを)です。

Gilitukha/iStock

歴史の偉人や有名経営者の残す、心を揺さぶる金言は多くの人の心を救う。筆者もいくつもの名言に人生を救われてきた。その中で特に気に入っているものが、「長期は上」というものだ。誰か特定の人物がいったものというより、金融トレーダーをしている人からちょくちょく聞く言葉である。

この言葉は金融投資だけでなく、勉強や起業したビジネスなどあらゆる場面においてアプライできると感じる。人生を送る上で辛いと感じる場面でも、この言葉を自分に言い聞かせて何度も立ち上がることができた。シェアする価値のある言葉だと思い、本稿で取り上げたい。

努力・挑戦する人の心を傷つけること

これはドラマ・ドラゴン桜のセリフなのだが「必死に頑張っても成果が出ない。これほど頑張る人の心を傷つけるものはない」というものがある。初めてこの言葉を聞いたのは随分前の事だが、非常に共感して今でも記憶に残っている。

遊びたい気持ちを抑えて、必死に勉強をして成績が上がらない。

東奔西走して努力をしているのに、ビジネスの売上が伸びない。

この状況は非常に辛い。今にも心がへし折られそうになる。普通の人がやらない努力や挑戦に、ただでさえ疲弊している。そんな疲れた時に、あざ笑うかのような惨めな結果を突きつけられれば、誰だってやる気を失う。他者からの批判、余暇時間を犠牲にした努力ではなく、頑張っても結果が出ない事実が人の心を深く傷つけるのだ。

正しい努力と改善を継続すれば、成長は保証される

「頑張れば必ず報われる」そのようなキレイゴトを一切言うつもりはない。だが、正しい努力を続けていれば、成長は裏切らないと思っている。ここで重要なポイントは「正しい努力」「継続」ということだ。

正しい努力は大事だ。効果が出ないことを頑張っても当然成果は出ない。将棋の上達を目指しているのに、バットを振ることに価値はないだろう。故に努力は常に正しい方向性に向けて行われているかを、確認しながら取り組むべきだ。

また、継続することも非常に重要である。「努力しているのに報われない」という人は、たいていシンプルに努力の分量が足りていない。自分では努力しているつもりでも、成果を出すために必要な努力量に達していないということは起こりがちだ。たとえば司法試験の予備試験合格にまでに必要な勉強時間は、3000~10000時間前後と主張する予備校がある。それなのに、「自分は1000時間もの膨大な時間を努力したのに、試験に落ちてしまいました」という人がいれば、シンプルにまだ努力量が足りていないということが分かる。そしてこういう人は少なくない。

だが、取り組んでいる努力の方向性が正しく、尚且つ辞めず、さらに改善意欲を持ちながら継続すれば、確実に成長していく。自身で成長の実感がなくても、潜在的な力は確実に内在していくだろう。後は自分自身が望むような、大きな成長を実感できるブレイクスルーがやってくるまでそれを継続するだけだ。つまり、結果が出る条件さえ揃えば、「後は時間の問題」ということだ。

どんな時も「長期は上」

勉強でもビジネスでも挑戦をする上で短期的には、ネガティブなことはいくらでもあるだろう。しかし、年単位の長期目線に立てば、ほとんどの取り組みは上向きであるはずだ。金融危機などで、一時的に大きく株価を下げても何年後かはまた上向いていくのと同じである(もちろんそうでない、永久塩漬けコースも有るが)。

英語の勉強をするなら、初年度より2年目の方が確実に実力は伸びる。起業したビジネスも初年度は赤字でも、2年目から黒字化するということはあり得る。最初から最後まで、きれいな右肩上がりに実績が上向く方が稀であり、株価のように日々小さな上下を繰り返しながら、マクロで見れば右肩上がりになっている、というのが現実的な結果だろう。

短期的には悪いことが続いたり、努力や挑戦をするほど逆に後退するような苦しい感覚にとらわれるかもしれない。筆者は何度も「もしかして自分は強い呪いを受けていて、永遠にうまくいかないようになっているのでは?」と感じることが何度もあった。だが、年単位で振り返ると必ず上向き、大きく伸びて今があると実感している。

誰しも、短期的にはネガティブなことは多いだろう。だが同時に努力と改善を継続すれば、長期的にはポジティブであることがほとんどだ。右肩上がりに伸びる続けることはないが、同じく右肩下がりにずっと下がり続けることもないのである。

短期的にはネガティブ要素に疲れた時にこそ「大丈夫だ。長期は上」と魔法のように唱えることで、冷静さを取り戻す事ができるのではないだろうか。

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。