さぁ、都議選、そしてその向こうには衆議院選

都議選の戦いの口火が切って落とされました。本件については何度かこのブログでも触れたのですが、新たな切り口は小池知事の休養でありました。また昨日、その静養期間を延長すると発表しました。私はメディアからの情報に頼るしかないのですが、過労であったことは事実のようで、休養を取られることについては致し方なかったと思います。

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しかし、小池氏の仕事の仕方は全部自分で仕切る、そういうやり方でしたのでコロナと五輪だけでも十分に抱え込んでいたところ、都議選という全く違うファクターも入り、暑い中、時間を見て選挙応援をするオプションを考えるとそれだけでもノイローゼになりそうな気持はわかります。

小池氏が都議選に関してほとんど明白な行動や言動がないのは当然、計算をしているのだろうと思います。その計算とは都民ファーストをどうするか、であります。一方、都民ファの荒木千陽代表が小池氏に代表復帰の依頼をしています。これが6月25日で本人は「検討する」と返事をしたようです。

小池氏は自民との関係を修復し、公明は自民と連携を取ることになりました。前回は公明は都民ファとついています。また共産と立民が候補者のオーバーラップを避けるよう手を打っています。現在の都民ファは孤立無援ともいえ、小池氏に最後のお願いをしたのは藁にもすがる思いなのでしょう。

私は小池氏は荒木氏の依頼を受けないとみています。小池氏の立場は「私は都民ファの立ち上げで十分お手伝いし、一期やったのだからその間の経験を踏まえ、自立する努力をするのは当たり前」というスタンスにあると理解しています。それはある意味、都民ファ バックダンサーズを抱えたセンターステージの小池百合子の華を目立たせる脇役たちの卒業が近いともとれます。

私が小池氏の都知事投げ出しの可能性を再三指摘しているのはそもそもバックダンサーズショーがあと2週間で閉幕になることが予見されるなか、小池氏が負け戦は絶対にしないことも確実視されるからです。

都議会選は10中8,9自民が第一党返り咲き、公明と併せて過半を取り、現在46議席の都民ファは壊滅的打撃となるとみています。一方、都議会に於いて共産は18議席で第4党で悪くない位置につけているのですが、なぜか弱小7議席の立民とタッグマッチを組んだのは戦略ミスだと思います。もしも票数を伸ばしたいなら都民ファの崩れた票が他党に流れるのでそれを1票でも多くとる戦略をすべきでした。自民、公明にとってはシメシメと思っているでしょう。

日経の都議選世論調査をベースに私が個人的に計算する限り、現時点では都民ファは公明と共産の間の20議席程度が上限で、立民との争いとなる10数議席が下限となり、共産に抜かれて第4党か、小池氏が支援しないなら立民にも抜かれ、第5党の着地もあり得るのではないかと推測しています。

自民党としては都議会選を制したものが衆議院選を制するというほぼジンクスに近いものがあることを含め、現職閣僚を含め、全精力をこの選挙戦に費やすとみています。

国政については6月の世論調査が内閣支持率の変化点で、ワクチンが普及し、特に高齢者が7月までに終わらせる目標を立てていることで与党への支持率は回復してくるとみています。もちろん、コロナの行方は予断を許しませんが、ワクチンを打ったという安心感からくる不安感の改善は小さくないでしょう。

また河野大臣の姿勢には様々な意見がありますが、私はこれぐらい自分で状況をつかみ、自分の言葉ではっきり会見できる人はそうそういないと思います。河野氏のワクチン広報官としての役割は極めて高い成果とわかりやすさがあるし、不備があればそれをすぐに現場に反映させる極めて高い実務能力を見せたと思います。その点で仮に都議選で自民が大きく議席数を増やしたとすればそれは河野大臣の陰の力は無視できません。

勝手予想をすれば都議選も秋の衆議院選も自民の勝ち。場合によっては圧勝になるでしょう。枝野さんはどれだけ負けても責任を取らないかもしれませんが、自民の勝利を後押ししたのは枝野さん、それと私は安住国対委員長も文句しか言わない中国の報道官と同じに見えてきてしまいます。野党はもっとそんなクレーム集団ではなく、反自民党の都民、国民を取り込むべく「そうだよね」「なるほど」「信じています」「ついていきます」というファン層を作るべきだと思います。

見方を変えればマスコミが嫌味な野党のイメージを植え付けたともいえ、野党の衰退はマスコミの戦略ミスであり、マスコミをコントロールできなかった野党の広報対策ミスともいえます。

都議選も衆議院選も目先のコロナ、五輪に興味の目線が向いています。が、社会的に必要な方針は何なのか、今、日本や東京はどこに向かい、どんな社会を作りたいのか、明白な指針と人気投票的ではない確固たる思いを候補者だけではなく、選挙民がしっかり理解し、考えることも大事です。

熱い戦い、いや、暑い戦いとも言えますが、都議選の行方は都民は盛り上がらないけれど、小池ショーの展開を含め、展開的に非常に面白い劇場的選挙となる気がします。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2021年6月28日の記事より転載させていただきました。