ネット上で自己承認欲求を満たすのは「リア充では無い」から?

インスタグラムやフェイスブックなどのSNSで、華やかな生活をアップしている人たちがいます。

Masafumi_Nakanishi/iStock

高級リゾートのプールで寛ぐ姿や、高級ブランドで身を固めたコーデ写真。あるいは1本数十万円をするようなワインをポンポン開けたり、予約の取れない高級レストランのシェフとのツーショット。

私も、美味しいお店に行ったり、素晴らしいお酒に出会ったりすると、つい興奮してアップしてしまうので、人のことは言えませんが・・・(苦笑)。

そんなリアルな生活の充実(いわゆる「リア充」)をアピールする投稿を見ていて、ふと感じたことがあります。

一見華やかな世界の裏側には、隠れた闇があるのではないかという仮説です。

そもそも、人間には様々な欲求がありますが、SNSに投稿する動機の1つは、社会的承認欲求です(もちろん、純粋にマーケティング目的で投稿している人もいます)。

不特定多数の人から「素晴らしい」「凄い」と称賛されることに喜びを感じる人は、多いと思います。アーティストや芸能人であれば、人気がある方が良いに決まっていますし、ビジネスをしている人も、仕事の実績を多くの人に評価してもらえれば、それはうれしい事に違いはありません。

しかし、そんな社会的な承認欲求の前に、人間にはパーソナルな人間関係から承認されたいという欲求が存在すると思います。

親しい友人や、生活を共にするパートナーのような極めて個人的な関係が、愛情深く安定したものであれば、そこから毎日の生活で承認欲求が満たされるはずです。このような「絆・つながり」とでも表現できる感覚を得られる人は、社会的承認がなくても、欲求不満を感じる事はあまり無いように思います。

逆に言うと、パーソナルな人間関係が疎遠で承認欲求が得られないが故に、その欲求不満を解消するためにSNSで自己承認欲求を満たしていると考えることもできるのです。

「リア充」を誇示している人を見たら、実は「逆にリア充ではないから」と考えてみる。

そうすると、他人の行動を羨んだり、嫉妬したり、自分と比較する必要も無くなります。そもそも、パーソナルな人間関係が充実している人は、自分以外の人が何をしているかに関して、あまり興味を持たないものです。

私自身を振り返ってみると、疎遠な人間関係による欲求不満を自覚した事は、あまりありません。でも、もしかしたらそのような深層心理からの無意識の影響がSNSの投稿につながっているのかもしれません。

自分が持っている闇というのは、自分自身ではなかなか認識できないものです。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年7月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。