今週のつぶやき:サイテーだった三菱電機ほか

バンクーバーを含む北米北西部に熱波がきて数日間にわたり厳しい高温に見舞われ、BC州の内陸部ではカナダで記録が残る限りの最高気温である49.6度を記録しました。当地の家はエアコンがないのが普通である中、家そのものが非常に暑くなり、部屋の温度が下がらないことも手伝い、死者が数百人以上出た模様です。また非常に乾燥しているので40度でも汗をかかないのが逆に怖いところでいつの間にか、カラダの水分補給が足らなくなります。なに、ビールばかり飲んだのだろうって。確かにうまかったです。

NHKより

では今週のつぶやきをお送りします。

統計にみる秋以降のアメリカ経済
本日、アメリカの6月度の雇用統計が発表になり、市場予想の70万人を上回る85万人の純増で着地しました。増分のうち、ほぼ半分の34.3万人がレジャー、ホスピタリティ関連でそのうち、19.4万人が飲食店でした。経済正常化に伴い、サービス業では雇用を増やす努力をしていますが、未だこの分野ではコロナ前水準より220万人の雇用不足となっています。25の州ではコロナ失業給付の中止前倒しが始まり、その他の州でもプログラムが9月に終わるため、雇用は戻ってくるとみています。

仮に雇用が秋にも一定水準に達した場合、インフレ懸念もあることから金利の早期引き上げに踏み込むのか、でありますが、これはまだ判断しにくいとみています。モノの価格は上がるもの、下がるものが予見できます。木材価格は先物ベースでは3月のピークから6割下がっています。本日発表の6月度自動車販売は前月比9.9%減となり、19年6月との比較でも14.2%減です。半導体不足が祟っているのですが、これは回復に時間がかかるかもしれません。それに代わって中古車価格が年初から既に33%上昇していますが、これは新車供給が安定すれば急落するのは確実です。

原油は本稿を書いている時点でOPECプラスの会合の結果待ちなのですが、どう転んでも上昇しかないように見えます。一方、海上輸送は既にピークアウトが見えており、ロスアンジェルスでの港湾処理も混雑が解消し始めており、秋からの海上輸送価格下落が予想されています。モノからサービスへの消費シフトがあるとみています。これらからすると経済正常化に安定感が伴うにはまだ半年から1年ぐらいはかかるかもしれません。とすれば現時点で22年末、23年末の利上げ予想の話をするのは時期尚早だと思います。

コロナ感染者数とワクチン
河野大臣のワクチン職場接種の中止に批判の声があるようです。確かに当初煽っていたのに想定以上の申請数で「まじかよ」と思ったのでしょう。ただ、不思議なのは打ち手不足があれだけ騒がれていたのですからそもそも接種の物理的限界数があったはずで申請の際の論理的計算がしっかりされていたのかという点は疑問です。また、高齢者の目途が立ったら一気に一般向けに門戸を開放したのもオリンピックに向けて何が何でも接種率を上げようとした感じは否めません。ただそれでも政府はだいぶ頑張ったわけで前向きの努力だった点から十分にプラス評価です。

もう一人、非難ごうごうだったのが丸川大臣の「1回目の接種でまず一時的な免疫をつけていただきたい」と述べたことです。これに対してネットあたりで炎上したと報じられていますが、私はカナダ在住者として1回目だけの優先接種の効果は絶大だったと申し上げます。カナダはとにかく1回接種を目指し、あっという間に世界で1位の「最低でも1回の接種国」となりました。その間で感染者数は激減です。BC州も7月1日から域内経済がほぼ正常化になっています。

もう一つ、マスコミは現状だと7月中に東京の新規感染者は1000-2000人と報じられています。ただ最近あまり耳にしなくなったのが重症者数。実は低下の一途なのです。ベットも空いています。ある番組で専門家が述べていたのですが、コロナが変異を繰り返した結果、本当に風邪と同じぐらいの症状になったというのです。私は専門家ではないので判断はできませんが、少なくとも数字はそれを物語っています。統計の数字はどれを取り上げるか次第でどんな記事も書けます。仮にこれが事実なら偏向報道を信じ込ませるマスコミの罪は大きいと思います。

サイテーだった三菱電機
三菱電機の長年にわたる不正検査問題で杉山武史社長が辞任を発表しました。今回、複数の不正が発覚し、鉄道用空調部門は実に35年に渡り不正を行い、不正プログラムがあったと報じられています。これはかつてVW社が排ガス規制の検査を通す不正プログラムで大騒動となり、VW社の存続の可否まで問われるほどのダメージとなったことと同じです。三菱電機はこれで故障や事故はなかったと釈明していますが、VWも別にそれで死者が出たわけではありません。

三菱系企業は昔からトラブルが絶えない企業群で自動車、重工なども苦戦してきました。その中で三菱電機は経営指標が良好で一時は重電3社(日立、東芝、三菱)の御三家で小粒だけどきらりと光るとされ、エレベーターなら三菱の異名も取るほどでした。よって三菱グループとしては「おい、電機もか」となっているはずで三菱金曜会ではどんなささやきあいがなされているのか、覗いてみたいものです。

今回の事件で鉄道各社が三菱電機を訴訟することはないでしょう。不正行為に対して経済産業省もせいぜい、お咎め程度のはずでVWがアメリカの当局と和解した1.5兆円の和解金支払いのような形にはならないはずです。しかし、不正が絶えない日本で監督すべき当局が弱腰で持ちつ持たれつの関係は許されるものではありません。現代のビジネスシーンではこのような不祥事は懲罰的罰則を科し、数百億円程度の罰金はあるべきと思います。そうしないと日本の不正天国は無限に続きます。

後記
いよいよ7月となり北米では昨年の夏休みが十分に楽しめなかった人々が外に繰り出しています。日本はコロナの上に都心のホテルは五輪予約で厳しい制限と制約があるようです。今年の夏も家でクーラーつけてビール飲みながら五輪観戦なのでしょうか?確かにこれじゃ盛り上がらないです。というか、楽しくないですよね。別の意味で五輪恨めしやー、となりそうな気がします。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2021年7月3日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。