DX化する気配が全く無い「法務局の証明書取得手続き」

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法人の印鑑証明書や登記簿謄本は、オンライン請求で郵送もできるようですが、急ぎの場合には麻布十番にある法務局に出かけて、その場で交付してもらいます。

窓口に来るといつも不思議に思うのは、印紙の販売を一階で行い(写真)、申請手続きは地下に降りて行うようになっていることです。

法人の印鑑カードがあると機械で対応してくれるので便利ですが、印紙代のクレジットカード払いのような機能はありません。

窓口での印紙の販売も受付の人が手作業で対応し、支払いは現金だけです。

交付書類の取得手続きは、本来なら交付の申請をして、必要な金額の収入印紙を購入し、窓口で呼び出されたら、自分で用紙に印紙を貼って、交付書類を受け取るという順番になります。

ところが、東麻布出張所の、交付の自動申請機は地下1階で、印紙の売り場は、不思議なことに1階です。初めて来た人は、地下に降りてまず申請し、1階に戻って印紙を窓口で購入し、そしてまた地下に降りて交付を受けるという無駄な動きをしなければなりません。

慣れてくると、先に必要な印紙を1階で購入して、地下に降りて申請をして、受け取るようになります。

これについては数年前にも同じような記事を書いたことがあります。

当時はまだコロナウイルス感染拡大も無く、単に事務の合理化という観点で指摘したのですが、ここにきてDX化の推進は日本の大きなテーマになっています。

既に、個人の印鑑証明などはマイナンバーカードがあれば、セブンイレブンの端末で取得できるようになっています。技術的に難しい問題なのではなく、やるかやらないかの問題のように思えます。

印紙売り場に行列を作っているのを見ていると、未だに昭和な世界を感じてしまい、何だか滑稽に見えてきます。いつになったら、この情景は無くなるのでしょうか?


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年7月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。