来週からオリンピックが開催されるとは思えないほど盛り上がってこない一つの理由は個別競技に誰が出るかよくわからず、日本選手の横顔も全く紹介されない背景はあるのでしょう。オリンピックに夢を語るならば選手がどう努力して出場切符を手に入れたか、アメリカなら必ず放送されるサクセスストーリー的なアプローチは今のところ見られません。五輪を盛り上がらなくしているのはメディアでどうもその熱量を意図的に下げようとしているのではと思えてきてしまいます。
では今週のつぶやきをお届けします。
株は怖い?素人は手を引くべきか、株式相場
私の知り合いがカナダの銀行から数千万円を借り入れて株に突っ込んだもののどうやら失敗し、厳しい取り立てにあっているようです。彼とは20年以上の知り合いで当時から株に傾注していて定職も持っていませんでした。昨年3月来の株式相場のラリーは目をつぶってどんな銘柄を買っても必ず儲かる一生に一度あるかないかの好機でした。ところがそのトレンドは着実に変化し、私の肌感覚からすれば今年の春からは明らかに次元は違っています。
ミーム株が会社の実態を完全に無視して上昇したのは個人投資家の最後のあがき、ところがそのミーム株ブームも終焉し、株価は指数だけが踊り、個別銘柄は極めて扱いが難しい状況になっています。4-6月の決算が発表になり始めていますが、そもそもの期待値が高いため、好決算発表直後に売られる「噂で買って事実で売る」現象が起きる可能性は無視できません。
ところでウッドショックで木材の暴騰が続くとほぼ全ての専門家が異口同音に述べていましたが、今日、アメリカの木材先物相場は昨年の11月水準まで下落、暴騰前の元の水準近くに戻ってきています。日本での価格はタイムラグがあるので下がるのに数カ月、時間がかかりますが、この相場を見るにつけても専門家すら読み違えた難しさがお分かりいただけると思います。今は中古車が爆上げしており、新車販売は異様に低迷しています。理由は売る車がないためですがこの状況は市場がいびつになり、それが資本市場をも歪めていると申し上げておきます。これでは禍根を残す気がします。
自民党は何処へ?
ずいぶん前に私は自民党は分裂させ、競わせるべきだと本ブログで述べたことがあります。最近、本当に起きるのではないか、という気すらします。党内派閥無所属の菅首相故に党内での分裂を引き起こしたとみています。それは首相継投か否かという話ではなく、党内の派閥同士の熾烈な争いで菅首相をどうお飾りにするか、つまり傀儡化させるか、であります。
横浜市長選挙。国家公安委員長を辞した小此木八郎氏はIR反対派。現職林文子氏は推進派。ここに著名弁護士の郷原信郎氏や元長野県知事で作家の田中康夫氏が立ち上がり、更に5,6名の立候補者、その上、前知事の松沢成文氏も出馬検討とされます。一体何が起きているのか、と言えばいわゆる党や派閥のグリップが緩み、皆がバラバラに意見を主張し始めたということかと思います。
これは自民党現政権に信頼感がなくなり、国民が何を信じてよいのかわからなくなり、意欲ある人々が声を上げ、掛け目なしの勝負に出ているといってよいでしょう。時事通信の最新の世論調査は菅政権の支持率が3割を切りました。自民党内はAAA派と二階派がぶつかり、山口3区では自民党岸田派の林芳正氏が二階派の右腕、同区現職の河村建夫氏に勝負をかけると表明しました。きっとこんな驚きの展開はもっと出てくるでしょう。小池氏の出方も注目されています。ですが、この状態は敵にあまりにも有利な展開になることも予知できます。枝野さん、今頃笑っているのでしょう。これは日本がもう一度、変わるときの予兆かもしれません。
西武がホテルを売却する時代がやってきた
本日のビジネス系トップニュースは西武がホテルやレジャー施設など40施設を売却するようだと報じられたことでしょう。「西武よ、お前もか」で残念な気持ちであります。電鉄系企業で沿線の再開発という点から不動産事業のウェイトが大きくなったのは東急の五島一族による80年代以降の沿線開発を通じた成功体験が他の電鉄系を刺激したと考えています。一方、本業では高架工事や複々線化、またJRなど各線の相互乗り入れといった利便性向上化がほぼ終わり、電鉄系の今後の成長軸を模索しているところであったと思います。
電鉄系のビジネスは沿線の人をターミナル駅に運ぶ役割、そして成長基盤は沿線住民を増やすことにありました。ところが街づくりの一環でわざわざターミナル駅に行かなくても途中途中でそれなりの駅前開発も進んだのです。西武はただ、これがあまりできなかったと思います。せいぜい所沢ですが同社はここに力を入れずホテルやレジャー業に精を出したのです。高田馬場なんてほぼ放置状態です。これは本業をなめたといってもよく、アセットに当たる「点」とそれを結ぶ「線」が繋がらない電鉄系にはあるまじき経営であったといってよいのでしょう。
日経には「アセットライト経営への転換」とありますが、本来であれば電鉄系はアセット所有者となるべき存在です。多分、点と線で繋がらないところを売却し、コアは残すということだと思いますが、この流れで思うのが、JALが経営不振に陥り始めた頃、次々と資産を売却し、海外にあったJALホテルも瞬く間になくなったあの時代でしょうか?もう覚えている人は少ないのでしょう。西武が陥った問題は私にとってはあの嫌な思い出、再び、です。とても微妙な気持ちです。
後記
カナダは経済正常化に向けて着実に歩が進んでいるのですが、それに伴い、止まっていた需要が急膨張したり、様々な無理難題が同時に起きたりして尋常ではない繁忙になっています。プラスの繁忙というよりやってもやっても終わらないモグラたたき状態で我々の周りのビジネス従事者もかなりへとへとになっています。休みなんてまったくなく、最近は足を引きずるようして帰宅している自分への勇気づけもできない情けなさであります。コロナのしわ寄せは別の意味でも怖いですよ。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2021年7月17日の記事より転載させていただきました。