「やる気が出ない運動や筋トレ」はこれで継続できる

黒坂岳央(くろさか たけを)です。

健康維持や体力づくりのために、運動や筋トレの必要性が見直されつつある。過去の記事では「運動して痩せる」をやめればダイエットに成功するというものを執筆したことがあり、コロナ禍のステイホームで運動不足が深刻化しているのだ。

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運動の必要性は理解していても、難しいのはその「継続」である。理由はシンプルで、多くの人にとって、運動や筋トレは辛いだけでなく、地獄のようにつまらないからだ。問題はビジネスのスキルアップなどとは異なり、運動は「ここのレベルまで到達したら終わり」というわけにはいかない点にある。運動や筋トレは、文字通り一生続けていく必要がある。そのため、一生涯継続し続けるための現実的な方法論が必要である。

筆者は元来、大の運動嫌いだ。しかし、必要性に駆られて運動を開始し、長期的に継続できている。今後も続けられるだろう。その具体的な方法論を取り上げたい。

多くの人にとって運動や筋トレはつまらない

「筋トレを始めると、筋肉の成長が嬉しい」「運動をすると気持ちが上向き、どんどんやりたくなる」、SNSを見るとインフルエンサーや著名ビジネスマンが「運動や筋トレは楽しい。みんなもどんどんやりましょう」というポジティブな主張がなされているのをよく見る。そうした投稿に影響され、始めた人もいるだろう。

だが現実的で厳しい話をしておくと、「これまで運動をしてこなかった多くの人にとって、運動や筋トレは楽しくない」と主張しておきたい。もとい、「辛い」「つまらない」という負の側面が圧倒的に大きいことを、始める前に理解しておくことが重要だと筆者は思っている。起点が「運動や筋トレは楽しい」だと、いざ始めてみて辛いことに直面すると「話が違うじゃないか」と裏切られた気持ちになり、たちまち逃げ出したくなるからだ。

運動や筋トレが楽しいと吹聴する人たちを見てみると、多くの場合は一般人とは違う性質を持っている事が少なくない。彼ら/彼女らは元来の忍耐強さを持ち合わせていたり、自己育成を楽しめる素養の持ち主だ。もはや、そうした能力は「才能」に近い性質と言っていいだろう。そのような才能はあらゆる面で発揮され、英語学習でも、プログラミングでも、ビジネスの起業でもなんでも「徐々に成長していくプロセス」を楽しめてしまう。それ故に成功できてしまうわけだ。だが、問題は大多数の人はそのようなアスリート的な気質は持ち合わせておらず、起点が辛いという要素は受け入れがたい事実に映るはずだ。実際、多くの人が運動を継続するのに苦慮しているという状況証拠が、真実を物語っていると言えよう。

まずは「運動や筋トレはつまらない」、この事実を受け入れるところから話は始めるべきだ。

つまらない運動を楽しくする方法論

それでは、つまらない苦行をどう楽しくするか?ここからは具体的に筆者が取り組んでいる施策を取り上げたい。

まずは運動や筋トレ中は、自分の好きなことをするのだ。これは馬の鼻先に人参をぶら下げる作戦である。筆者の場合、運動は部屋に設置したウォーキングマシンでひたすら歩いている。ただ、何もせずに歩くのはつまらないしやる気になれない。そこでiPadでYouTubeや映画を見たり、オーディオブックを楽しむようにしている。自ら課しているルールとして「映画鑑賞はウォーキングの時のみOK」ということにしている。正直、何もインセンティブがなければウォーキングマシンで歩くことはしたいと思えない。だが、映画鑑賞は楽しい。そして普段は仕事や勉強に集中して映画鑑賞はできないからこそ、「映画鑑賞をしたいので運動をする」という状況を人工的に作り出している。「楽しい>辛い」という構図を作ることで、運動をするインセンティブになるわけだ。ただし、注意点として負荷の高い筋トレ中に映画のながら観は難しい。軽いジョギングやウォーキングなどで使える方法論である。

また、サボらず運動を継続できた時には、ちょっといいお肉や魚を食べるなど、プレミアムのご褒美を自らに与えることもある。注意点としては、あくまでタンパク質のクオリティを高めるということだ。これがご飯やパンなど糖質であれば罪悪感が生まれるし、せっかく運動で消費カロリー量を増やした努力もムダになる。このインセンティブは筋トレを頑張る人にも活用できるだろう。

人間は本来怠惰にできており、つまらないことを長期的に継続できるほど強くは出来ていない。習慣化すればあとは楽になるが、難しいのは習慣化の段階まで至ることだ。そのためには運動や筋トレは多くの人にはつまらないという現実を受け入れ、いかに楽しくする理由を作れるか?が肝要と言える。参考になれば幸いだ。

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。