米国、新規感染者数は再び10万人乗せーワクチン接種完了者でも感染

日本では、1日当たりの新型コロナウイルス感染者数が初めて1万人を突破しました。米国でも状況は深刻化しつつあります。以下、足元の感染状況を表す数字などを確認してみました。

JANIFEST/iStock

1日あたりの新規コロナウイルス感染者数

7月30日時点での新規コロナウイルス感染者は10万1,171人。6月30日は1万7,295人だっため、前月比で約6倍に膨れ上がった。

(作成:My Big Apple NY)

1日当たりのコロナによる死亡者

7月30日時点で451人。6月30日は227人だったため、前月比でほぼ2倍となる。

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コロナ感染者の入院患者数

7月24日週時点で944人、前月比69.2%増となった。約2ヵ月ぶりの1,000人乗せが近い。

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年齢別では以下の通り。18~49歳、50~64歳の増加が顕著となった。

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米国人のワクチン接種動向

7月30日時点でワクチンの投与回数は6万2,977回だが、7月29日までの7日平均は51万回であり、7月4日の独立記念日も4万8,233回へ急減していたため、週末要因とみられる。7月31日時点で最低1回接種した米国人は1億9,098万人(全米人口の57.5%、成人人口の69.7%)にあたり、ほぼ成人人口の7割に達した。接種完了した米国人は1億6,447万人(全米人口の49.5%、成人人口の60.4%)となる。

(作成:My Big Apple NY)

米国人のモビリティ動向

7月28日時点の米国人のモビリティ動向をみると、コロナ感染拡大直前と比較して小売・娯楽の人出は2%減、食料品・薬局は4%増、公園は47%増、駅・乗り換え地点は20%減、職場は30%減だった。デルタ株感染拡大を受けながら、これら5カ所の7日平均は7月28日時点で2.3%増となり、7月平均では1.6%増と6月平均の1.3%増を上回った。ワクチン接種率が成人で約7割とあって、夏休み効果もあり、外出に抵抗が少ない米国人が増えている様子を示唆した。

(作成:My Big Apple NY)

以上の数字を分析すると、米国の感染状況の実態が浮かび上がってきます。

  1. 感染者数は10万人を突破したものの、入院者数は1,000人割れで現時点では限定的で、ワクチンが効いている可能性大(21年1月末~21年2月第2週に感染者数10万~12万人だった当時、入院者数は平均で3,620人)
  2. 死者数は7月末に前月比で2倍の451人に増加したが、感染者数と比較すると低水準(21年1月末~21年2月第2週に感染者数10万~12万人だった当時、死者数は平均で2,440人)
  3. ワクチン接種回数はデルタ株の感染拡大を受けながら、増加せず(7月平均は46.6万回、6月の82.1万回から43%減)
  4. 同じくデルタ株の感染拡大を確認しながら、人出は大きく変化せず(7月平均では1.6%増と、6月平均の1.3%増を上回った)

バイデン政権は7月30日、デルタ株感染拡大を受け連邦政府職員へのワクチン接種あるいは定期検査を義務付けを発表。NY市は7月26日に警察官や教員を含む市職員に、カリフォルニア州も同日に政府職員並びに医療機関のほか、介護施設やホームレスの避難所、刑務所などで勤務する人々を対象に同様の措置を取る決定を下しました。

グーグルやネットフリックスなどIT企業のほか、配車大手リフト、ブラックロックやモルガン・スタンレーの金融機関、ワシントン・ポスト紙といったメディア、高級百貨店大手サックス・フィフス・アベニュー、医療機関アセンション・ヘルスなどもワクチン接種の義務化、あるいは証明書なしでのオフィス立ち入りを禁止する状況です。

ただ、ワクチン未接種者がデルタ株に感染し全米での再流行を主導しているとの報道がありましたが、そうとも限りません。マサチューセッツ州バーンスタブル郡でも新規感染者が急増していますが、米疾病予防管理センター(CDC)の調査によれば、新規感染者数の74%は、ワクチン接種完了者だったといいます。バーンスタブル郡と言えば、風光明媚なケープ・コッドを擁するだけに、モビリティ動向は夏場とあって独立記念日の翌日には148%増を記録、7月26~27日の週末も平均で118%増でした。コロナ感染拡大直前が真冬の1~2月とあって2倍以上の数字に膨らんでおり、こうした人流が感染拡大につながった可能性は捨てきれません。CDCが7月27日にワクチン接種完了者に対し室内でのマスク着用を再度要請したのも、こうした調査結果による決断とみられます。

また、シンガポールでの新規感染者数も、ワクチン接種者が74%(接種完了者は44%、1回の接種者は30%)を占めていました。ワクチン接種でもデルタ株など変異株に感染するリスクがあるということならば、ブースター、つまり3度目の接種が必要となる公算が大きい。一方で、グーグルなど一部企業は出社要請を見送るなか、感染者の増加が雇用や支出に影響しないとも限らず。資産買入の縮小を検討するFedにとっては、インフレ加速との狭間で厳しい選択を迫ることになるでしょう。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2021年8月1日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。