「女のくせに」あるいは「支援者の誘いを断るのか?」という票ハラスメント実態

こんにちは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。

佐藤こと元候補が取材を受けたNHKの記事が公開されました(本人の夫がメディアデビュー…!)。

政治活動で街角に立っていると、「子どもはどうした」「女のくせに」と言葉を投げつけられる現実。

また現職議員だった斎藤れいな都議からは、予定が読めず拘束時間が極めて長い議会活動・政治活動と育児や家庭の両立の困難さが吐露されています。

選挙というのは組織がない新人にはタダでさえ無理ゲーですが、女性や子育て中の方はさらに難易度が上がるのが実態です。

というと、

「いや、女性というだけで得票率が上がるんだから良いではないか」

という反論もあって、確かに一面の事実ではあるのですが、それは女性候補が現時点では少ないから希少性があるだけであって、本質的なところではない気がします。

実際、属性が被った女性候補同士が立候補すれば、結局はフィジカル勝負の消耗戦という「沼」に引きずり込まれていくことになります…。

こうした状況を変えていくのは本当に難しいです。

政党内部にハラスメント対策機関がないという課題も指摘されてきましたが、こちらはまだ組織内部の話なので改善できる見込みが立ちます。

しかし議員→女性議員のハラスメントは(現時点では不十分ながら)対策が出来るとしても、有権者→女性議員へのハラスメントについては有効な対策があまりないのが実情です。

政治家であれば誰しも街角で強い言葉を有権者から投げつけられたりするものですが、女性政治家はこれに加えて

「今度、二人で食事に行こうよ。地域の有力者を紹介するよ」
「え、断るの?そうしたらもう応援できないよ(悪い噂を流すぞ)」

など、選挙や票をタテにとった誘いを受けることがままあります。「票ハラスメント」とも呼ばれる行為です。

実際、支援者(?)からこれをしつこく繰り返され、引退を決意してしまった若手女性議員もいます。

「そんなの、毅然と断ればいいじゃないか」

と思われる方も多いと思いますが、「有権者」「支援者」の言葉は極めて重いもの。

対応を誤れば「有権者の言うことがきけないのか」「政治家だからって勘違いしている」と非難されることもあって、多くの女性議員・候補たちが苦慮しているところです。

対策としては

「女性議員・候補は街頭には一人で立たせない」
「トラブルがあったら、事務所や男性スタッフが対応する」

などをやってきましたが、組織のない陣営では常に男性スタッフが街頭演説やあいさつ周りに同行できるとも限らず、介入するタイミングもなかなか難しい。

政党・組織として女性候補をもっと組織的にバックアップする仕組みを強化するとともに、フィジカル勝負になりがちな選挙のルールを変えていくことが必要です。

まだまだ政治の世界には、ジェンダーギャップ解消のために能動的にやらなければならないことが沢山あります。

一朝一夕に進むものではありませんが、世論を喚起していくと同時に、自分たちでやれることも一つ一つ検討してまいります。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2021年8月3日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。