ここまで収まらないとなると嘆きとため息しか出てきません。12日木曜日の感染者数は19000人水準となり、いわゆるout of controlの状況にあるように見えます。法的にも統治的にも決定的で絶対的な感染対策ができない日本の現状からすると回復はさらに遅れるのでしょうか?
ここカナダ、バンクーバーも1か月ぐらい前に感染者数が一旦、大底を打った後ジワリと増えてきています。経済はほぼ正常化していますが、この2週間ぐらい、明らかに変わったのがマスクを再びつける人が普通になったことでしょうか?初夏のころはマスクを外してしまう傾向も強く、私も一時期は持ち歩くことすらしていませんでした。多くの店や公共施設、交通機関ではmusk recommendedで強要させられていませんが、人々が自主管理に着用を始めています。私もマスクをポケットに忍ばせて必要に応じて再びつけるようになりました。また自主的行動制限もあり、一部の人を別として感染症に対して非常に敏感で大多数は感染症に対して「悪魔」のような気持ちを持っているように感じます。
カナダの感染者数が比較的少ないのは人口密度がそもそも高くない上に人と人の接点を極力抑えるようにしていることもあります。通勤も自家用車や自転車だけでなく電動スクーターの利用者が異様に増えています。初めはあきらかにレジャー用途だったのですが、通勤などに使っていると思われる人が急増しています。確かに人との接点は少ないです。日本の場合、様々な意味で人が密接になる機会は多いと思います。これは街の構造上、対策が厳しいと思います。
一方で、ワクチンは延べで1億回を超え、二度接種が終わった人も4400万人に達しています。河野大臣が自画自賛していましたが、確かに接種スピードは上がってきており、8月中にも2度終了が国民の50%程度ぐらいまで進むのでしょう。ただ、若い人に一定の抵抗感を持っている人がいる一方、その人たちが人との接点が多い状態にあるため、死亡者こそ抑えられているものの重症患者の増加を含め、厳しい管理状況になっています。
オリンピックは無事に終わりましたが、パラリンピックが間もなく開催されるにあたり、より厳しい管理体制が求められそうです。また、一時、オリンピックとパラリンピックの間に政府が追加経済対策を発表する噂があったと記憶していますが、この状況ではとてもそれを行うタイミングではなさそうです。本来であれば強い指導力と安定した政権というイメージを見せ、秋の選挙につなげる戦略であったはずです。ところが今の政権からは声らしき声がほとんど聞こえてこなくなり、明らかに「疲れ」を見て取っています。
もちろん、オリンピックという大事業を大過なく終えたことことでほっとしてることもあるでしょう。これについては本当に立派なことだと思っています。菅首相と小池都知事が五輪功労賞をIOCから授与されたことについて批判の声もあるようですが、個人的には言葉で言い尽くせないほどの大事業であったと思っています。そしてその功労賞は決して首相と都知事の個人に与えられたという性格のものではなく、日本国と主催地の東京都が近年の人類の歴史で経験したことのない感染症との戦いの中でやり抜いたというIOCの感謝は素直に受け止めるべきだと思っています。
しかし、経済の回復、生活の正常化、国民の活力の回復、将来への希望と不安感の払拭という点では政府の目論見は完全に狂ってしまいました。かといって野党なら対策できることでもありません。無気力な選挙になるのかもしれません。むしろ自民党総裁選の行方次第で審判が下るのかもしれません。一時期、菅総理の継投で無投票という流れが強まりましたが、ここにきて高市早苗氏が意欲を見せ始めした。そもそも二階幹事長の「無投票で」という発想はかつてのシャンシャン株主総会をほうふつとさせるもので今の時代にあってはならぬ発想だと思います。徹底的に揉み、複数候補が戦うべきでしょう。
コロナ対策ですが、個人的には飲食だけではなく、もっと広く全般に実質的な行動制限を課すしかないと思っています。例えば公共交通機関の乗車率を30%以下にするとか、時差通勤の徹底した取り入れ、オンライン化推進のためのより強力なプラン、スーパーマーケットなどの入場制限を通じた日々の行動抑制、飲食店向けだけではなくスーパーマーケットの商品のデリバリーへの応用など発想を柔軟にして結果として人流が減る対策を練るしかないのだと思います。
苦しいけれど国民が一丸となって乗り越えるしか方法はないと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2021年8月13日の記事より転載させていただきました。