メガバンクの預金口座の存在価値はどこにある?

みずほ銀行のシステムトラブルが続いています。

今年に入ってから昨日で6回目と報じられています。頻発するトラブルの回数を見ると、偶発的なエラーというより、システムの根本的な構造や、その運営体制に何か致命的な問題があると考える方が自然です。その場しのぎの対処療法をしていると、近いうちに再びシステムトラブルが発生するのではないかと心配になってきます。

日本のメガバンクと言えば、みずほ以外には、三井住友と三菱UFJがあります。

システムトラブルの問題以前に、今やこれらのメガバンクに口座を保有しても、預金者としてのメリットはほとんどありません。

ネットバンキングの使い勝手も良くありませんし、通帳記帳も面倒です。振込手続きに時間がかかることも多く、利便性に優れているとは言えません。

決済や振り込みであれば、ネット銀行の方がスピーディーで送金手数料も安くなったりします。そのような銀行を利用して、ネット取引するのが便利だと思います。

預金口座で重視すべきなのは、システムの安定とコストです。割高なコストでトラブルばかり起こしている銀行の口座には、存在価値はなくなりつつあります。

自分の銀行預金が自由に使えない状況は、考えてみると、かなり恐ろしい状況です。

私は、みずほ銀行には口座を持っていませんが、もし持っていたら、口座を他の銀行に移管する手続きをしているはずです。平時でもトラブルが発生する金融機関を使っていて、有事になったらどうなるかを考えると怖くなってしまうからです。

今後、みずほ銀行の預金者が大量に離反するようになれば、抜本的な問題解決に乗り出す強い圧力になるはずです。しかし、増築を繰り返して迷路のようになった老舗の温泉旅館にも例えられる複雑なシステムを立て直すのは、容易ではないと思います。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年8月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。