自民党総裁選:判断材料は皇統維持とエネルギー政策だ

菅総理の自民党総裁選不出馬には、つい最近見直していただけに落胆した。が、今更その理由を云々しても仕方ない。斯くなる上は、新総裁の政策に目を向けて、誰が総裁の政権なら日本の今後を間違いのない方向へ導いてくれるのかを見極めることが有権者の務めではなかろうかと思う。

石破氏動画、自民党サイト、高市氏、河野氏各サイトより

その意味で、筆者最大の関心事は菅総理が不出馬の理由に挙げたコロナ対策ではない。なぜならコロナ致死率もワクチン接種率も、日本のそれは他の先進国に比べて間違いなく優れている。これには他の要因もあろうけれど、政権与党のコロナ対策が「他国よりましだった」ことを物語る。

日ごと、正しくは「PCR検査陽性者」とすべき「感染者」の数だけを、今日は何人、今日は何人と垂れ流すメディアに煽られた国民には不満があるかも知れぬ。が、コロナ対策で褒められ続けている指導者など世界中一人もいないといって過言でない。台湾の蔡英文でさえ始終批判される。

つまり、コロナ対策は誰がやっても大して変わらないということ。その理由の一つは、頻繁に変異する新型コロナの性状が未だ解明し尽くされないことであり、二つ目は治療薬がないこと、そして三つ目は、これが一番肝心だが、感染症の予防は最終的に個人の自覚に俟つしかないからだ。

その観点から、治療薬(特にイベルメクチン)の開発推進や、目下の2類相当のランクを下げて、保健所を介さず症状を感じたらすぐに医者に掛かって早期治療を受けられる仕組みへの変更など、要すれば、新型コロナを少々質の悪いインフル化する勇気のある候補者を支持したい。

またワクチンパスポートについてだが、ワクチン接種者のブレークスルー感染は重症化しにくいが他者には感染させるともいわれる。つまり、感染しても重症化しにくいことの証明にしかならないようだ。よって筆者は、こういう意味のないものの導入を考える候補者は支持し難い。

そこで筆者の関心事はといえば、第一は皇統の維持だ。万世一系の天皇陛下を戴く皇室の存在が、この二千数百年間にわたって日本を日本足らしめ、日本人を日本人足らしめてきた。皇室典範の第一条にも「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」とある。

従って、女性・女系天皇は勿論のこと女性宮家の創設も、この皇室典範第一条、つまり日本を先々危うくするリスクを内包しているから、これらを容認する考えを持つ候補者を到底支持することはできない。この一点で、女系にシンパシーのあるらしい河野太郎は日本を危うくしかねない。

その点、高市早苗は靖国参拝の常連で、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」教育を基本に置くようなので評価できる。立候補を表明した岸田文雄も「男系天皇を重要」とするようだ。が、「女系という選択肢は排除しない」らしい石破茂は困る。

次はエネルギー政策。筆者は原発推進論者で、再生可能エネルギー非推進論者だから、3.11以降、幾重にも安全性が強化された原発抜きに日本経済の復活はあり得ないし、原発も火力もさらに一層増やす中国との電力コスト格差が、日本の競争力にますます深刻な打撃を与えると考える。

太陽光パネルの世界シェア上位を独占する中国の軍門に下る太陽光発電など論外だ。森林が多く急峻で狭い国土の日本に馴染まないメガソーラーの環境破壊ぶりや災害への脆弱性は、大雨や台風が来るたびに実証されている。耐用年数を過ぎたパネルの始末が、原発の核廃棄物のそれと比べ容易だなどとはとても言えまい。

これらの観点から、脱原発論者の河野太郎と再エネ推進論者の小泉進次郎(出るかでないか知らないが)は全く支持しない。この件での岸田や高市や石破らの考えは良く判らない。が、何れにせよ30年にCO2発生を46%減らすなどという今のエネルギー基本政策は亡国政策だ。

表向きの目標は国際社会の目があるからこのままで良いとしても、その手段は、できもしない再エネではなく、小型モジュール炉(SMR)も含めた原発の新増設と火力発電の石炭ガス化複合発電プラント(IGCC)への置き換えなどで実効を上げてゆく政策がとれる候補を支持したい。

その意味では、国際会議で叩かれるのを厭うような環境大臣など以ての外であり、日本語しか話せなくとも我が国の立場を平然と語れる候補者を支持したいものだ。

こうした観点で目下の立候補表明者や意欲表明者、そして巷間名前が挙がっている候補者を見れば、支持すべき人物は自ずと絞られる。菅総理の不出馬によって条件が変わったと河野や石破や下村は述べている。が、それなら忘れてならない人物が一人いる。それは安倍晋三。池江選手は復活した。

特にコロナ禍に陥ってからのメディアの報道ぶりやそれに乗せられる世論を見るにつけ、その力は恐ろしいと感じる。が、小なりといえ本欄もある種のメディアだ。日本の将来のためにもここから世論をリードできると良いのだが。