2021年後半戦を占う

パラリンピックが終わりました。大会運営としてはパラのほうが五輪より評価が高かったのは大会開催の賛否が直接的な焦点にならなかったこと、パラリンピアンの真摯に頑張る姿が感動を生んだからでしょうか?

さて、北米も月曜日がレイバーホリデイで火曜日からいよいよ学校は新学期、企業も平常化になるところが増えてきます。日本もコロナに選挙と話題が多くなりそうです。9月から12月の4か月は12月の3/4がクリスマスで実質的に機能しないことを考えると3か月ちょっとしかないのですが、密度が高い期間になりそうです。概括してみましょう。

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金融

北米の株価は史上最高値圏にあり、金余り現象から悪材料がなければ買わざるを得ない状況にあります。興味深いのは8月雇用統計が悪かったことでFRBの量的緩和縮小は現状12月までないとみる見方が出てきており、そうなれば金(ゴールド)とナスダック系ハイテク株が再度物色されやすくなります。暗号資産はイーサリアムがこの1か月で倍化し、チャート的に抜けていますのでビットコインがそれに追随するかが着目されます。

企業業績については北米は10-12月期は「一服」という気がしています。夏のレジャーシーズンも終わりとりあえず宴は終わっています。先日お伝えしたように半導体不足で売るものがないという状況はしばらく続きそうですからマネーがどこに行くのか、要着目です。

日本は選挙の株高というアノマリーがありますので日経平均3万円からコロナを受けた経済対策が出ればもう一段買われる可能性もあるし、総裁は誰がなっても新人ですから100日ルールも考えれば今年一杯は評価が出ないとみています。

コロナ

感染者数は明らかに下がってきました。「冬になればまたやってくる」という見方もありますが、個人的には若い人へのワクチン接種が進めば仮に今年の冬、変異種が出てきたとしても感染者は数段低いレベル、たとえば全国でせいぜい数千人規模まで下がるとみています。ワクチン接種に抵抗感を持つ方でもあまり論理的ではない迷信のような話を信じていた人が結局、コロナに感染し、「打っておけばよかった」ということになりつつあります。

経団連が政府に帰国者の14日隔離を見直すように、と提言しています。私も一体いつ、見直す気なのだろうと思っているのですが、緊急事態宣言下でそんなこと考える余裕がない、ということなのでしょう。しかし、ビジネスはビジネス。ワクチン2回打って陰性なら隔離なしでよいはずです。政府はいつも後手なのですがこの後手はかなり遅れていると思います。早めの対策を期待します。

選挙

これを書いている時点で全く予想がつきませんが、衆議院選を勝ち抜くなら国民が安心感を持て、かつコミュニケーションが取れる人がよいと思っています。枝野氏は反対しか言わないので切り口が単純すぎてつまらない男だと思います。彼も落ちぶれたな、と思っています。立憲こそ顔を変えたほうが良いでしょう。

コロナが収まり、安定政権になれば懸案のオリンピック後の日本がどこに向かうのか、という大指針を提示するときです。総裁選候補者からはこの大ピクチャーと目先3年のプラン、活力をどう引き出すか、といった大所高所の話を聞いてみたいところです。

外交

最大の着目は中国で、5中全会が10月に予定されています。これで習近平氏の3期目を決め、新指針「共同富裕」を本格展開するとみています。企業はすでにいかに「共同富裕」つまり皆で分け合うということをするか、決算発表や企業指針に織り込み始めており、中国の急変が起こりえるかもしれません。外交的には5中全会までは派手な動きはないとみています。

アメリカはバイデン氏とハリス氏の不人気ぶりが顕著になってきたことでしょうか?ロイターの世論調査を見ると9月に入りバイデン氏を支持しないが48%と支持するの46%と逆転しています。下手をすると政治と経済、社会が全部ばらばらに動き出す可能性もあります。そもそも大統領選挙戦で民主党は候補者が乱立し、思想も主義もバラバラでありました。アメリカはモンロー主義を目指すのではなく、自壊しているのではないか、という気すらします。

概括

パラリンピックの閉会式のテーマが「Harmonious Cacophony」(違いが輝く世界)だったそうですが、日本も世界の動きもその枠組みにあるように感じます。日曜日の日経の一面トップは「世代と派閥 自民の岐路」と題しています。いわゆるブーマー層から社会の主役のバトンタッチが求められることは明らかです。先進国では民主主義とSDG’sをテーマとしていますが、政治的なタッチがあることも勘案する必要があるでしょう。世界は向かうべき方向を模索していると思います。極論も多い中、その答えがこの数か月で出るとは思えないのですが、日本は自分の力で考え、動かしていくことに気がついてもらいたいと思っています。

晴れやかな秋を期待しましょう。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2021年9月6日の記事より転載させていただきました。