世田谷モデルが総額5億4200万円もの血税を浪費した、トンデモな大失敗モデルであったことは、私ひえしまの議会質問で明らかになった(詳しくはコチラ)。
世田谷モデルの特徴は、無症状者に検査して陽性者を炙り出す、ということだが、それが1ヵ月に1回しか実施されないので、極めて有効性乏しいことにある。しかも、希望した福祉施設は全体のたった3割しかなかった。つまりは、多くの区民は無症状者への検査に意義を見出していないということである。この少なさについては、さすがの保坂区長も答弁で認めざるを得なかった。どう考えてもクラスター化の抑止や感染拡大の防止にはならなかったのである。
しかし、私への答弁の中身は、世田谷モデルの正当化に終始し、終了が決定しているにも関わらず、状況次第では復活させることを区長は明言した。いやはや、もう返す言葉もない。さらには、一般会計補正予算(第4次)に、ちゃっかり、無症状の小中学生への抗原定性検査の実施を盛り込んでいた。
これは、修学旅行などの行事の前日に抗原検査を実施し、陽性となった子どもを排除して休ませるというもの。百歩譲ってそれをよしとしても、では、何人の陽性者が出たら行事は中止となるのか、まったく基準が示されていないことが問題だと、私は議会で指摘した。A校は2人で中止になったが、B校は4人でも催行した、となれば、不公平感は否めない。しかも、陽性になった子どもは、自分のせいで取りやめになったと悩むのではないか。あるいは、そのことを指弾する子どももいるかもしれない。その時のケアは考えているのか、ということである。
そもそも、抗原検査の目的は、文科省の方針では、「ただちにPCR検査が受けられない有症状者への緊急措置として使用する」となっている。日本医師会の中川会長も「抗原検査は陰性証明にならない、あくまで有症状者でPCRを受けられない人に限って使うべき」と述べており、しかもこれまた希望者のみとなれば、教育現場にいらぬ混乱を招くだけである。負担になるとの理由で、検査キットは配らない、と決めた自治体もある。我々の会派は、対象を変えただけの「続・世田谷モデル」は認めない、との立場から、この補正予算案にも唯一反対した。
区長がやるべきは、いつまでも失敗した「世田谷モデル」の幻影を追うことではなく、現実を直視し、若年層へのワクチン接種の加速と高齢者に対する3回目の接種に、遺漏なく備えることではないか。