タイトルは冗談九割、本気一割です。その一割の中身を少し述べましょう。
前回、前々回と投稿したのは8月のことで、すでに第5波の拡大が止まり縮小が始まっているようにも見える時期でした。
ここで私が主張したことは、専門家とされる人たちは感染全体(増加してそのあと減少する一つの波)を記述できる正しいモデルを持っているようには見えず、従って、彼らのシミュレーション結果は無意味に思える、ということ。そして、ならばもっと現実的に対処するほうに舵を切りましょう、ということでした。
具体的には、根拠の薄弱な予想をもとにした社会に打撃を与える政策よりも罹った人をすぐに治せるような体制づくりに力を入れるべき、ということになります。
その後の陽性者数の減少が著しかったからか、なぜか世間の声もそういったものが大きくなり、個人的には驚いています。テレビから「なぜ減少するのか専門家たちは説明できない」なんて言葉が流れてくるとは思ってもいませんでした。そして、私がこうなったら良いなと思う方向に社会が動きました。激動の8月、だったと感じています。
まだ第5波は終わっていませんが、ちょっとここでこれまでの1年半を振り返ってみましょう。図は東京都の新規陽性者数をプロットしたものです。横軸は2020年3月1日からの日数、縦軸は新規陽性者の数を対数目盛で書いてみました。
前々回の投稿でも全く同じ書き方の図を第1波に対して示しましたが、対数で書いているということで縦方向の距離は陽性者が何倍になっているかという意味になります。
図を見ると5つの波があった、ということはすぐにわかります。ここで少し注目したいのは、1つの波が終わったあとの底の値から次の波のピークまでどれくらい増加するのか、ということです。この大きさが大体5-15倍程度に第3波以降は収まっていることが分かります。第5波だけはワクチンという異質な条件があるのですが、やはり同じ程度に収まっています。これはデルタ株の感染力のためなのでしょうか。
さて、ここから言えそうなことは、1つの波の中ではあんまりめちゃくちゃには増えない、ということです。言い方を変えると、底の値(初期値)を下げることができればピークの値も下がるだろう、となります。増加率(グラフ中の線の傾き)が同程度なので、増える期間は経験的にいつも大体同じ(2か月で増え2か月で減る)なのですから、底が低ければピークも下がる、というわけです。
第5波の減少が激し過ぎるという方もいますが、ドカンと増えたからドスンと減りました、というこれまでと同じことが起きたといえます。
ですから、この10月中にかけての「次の底の値」を何とか人為的に減らすことができれば、、となりますよね。つまり、今こそ緊急事態宣言を! という結論に至ります。ま、これは冗談です。
専門家を批判する割には、こんな低いレベルのことを書いて、ウィルスにウルトラマンのカラータイマーでも付いてるってか!? とか思われる方も多いと思います。ま、実際レベルが低いわけなのですが、前述したように、周期的に増えてそのあと減ることを説明するモデルが無さそうである以上、こんなのもアリといえばアリなのではないでしょうか。
西浦グループの大体の考えを知りたいと思って、解説が載っているもの(数学セミナー誌(東京図書刊)の昨年の9月号)を買い求め、一通り読んでみました。解説としては理解しやすい良い論文でした。ですが、少なくともその時点では波全体の振る舞いに関するモデルは見当たりませんでした。
それにしても単純すぎないか? と思われる方もいると思います。一番の理由は私が素人だからですが、こういったことを浅く広く説明する場合に、自分以外は理解できないかもしれない得意な領域で話を作ってもあまり甲斐がありません。そして、これまでの経験から波の周期性といった単純なルールを認めるのであれば、この話は中学生でも理解できる内容として専門家たちの矛盾点や今後の予想を見出すことができます。
私は初期のクラスター対策には効果があったと思っています。これは感染拡大は一様&均質なものではなくてムラがある、そのムラの濃い部分に注力する、という作戦でした。この先、さらに減ると、また丁寧にクラスター対策できる陽性者数まで落とせる可能性も見えてきたのではないでしょうか。底を下げれば次の波が来てもそのぶん低くなるはずです。これなら緊急事態宣言する必要もなくなりますね。
私は今、楽観的に現状を見ています。8月から9月にかけての社会の動きはドラスティックで、私が思い描いていたような、罹れば治せばいい、という考え方にかなり変わりました。むろん、地域差はまだかなりあると思いますが、感染者の多い地域ではかなりそのような方針に転換したのではないでしょうか。
5類にするべき、とも書いたのですが、これはこれで医療費が無償でなくなりその後始末が必要という問題点もあったので、現在の実質的に5類相当扱いはなかなか良い落としどころだったのかも、と現在感じます。
また人々の意識の変化(あれ、これ根拠ある? おかしいんじゃないか? と思う人が増えてきた)も感じ、心強く思います。自分で考える人が増えてきた証拠でしょう。連休は高速道路も渋滞していましたしね。
第6波の中身に関しても、仮にデルタ株であれば2回目はおそらく感染規模は縮小するでしょうし、違う株であればデルタ株よりも感染力は低いでしょうから、これも有利な条件と予想します。ワクチンの接種も更に進みます。
前回の投稿では、早く悪夢から覚めるべき、と書いたのですが、この眠りは相当深くてすぐには目覚められないかもしれません。
そのために次は、緊急事態宣言などを出さず、飲み屋も開いていて感染者は出ているけど入院している人は少ない、そしてあまり誰も亡くならない、という体験を皆がしなければならないのです。これならいける、という実感が必要ですね。
お膳立ては整いました。必ず来るでしょうが、アレ?今の波だったの?となれば良いですね。
第6波、恐るるに足らず、です。
■
宮本 優
固体物理の研究者(実験系)、みなし公務員。
趣味はピアノ演奏とラジコン。