今週のつぶやき:日大問題と日本に戻りたくない真鍋淑郎先生

地震で負傷者と被害、帰宅難民が出たようですが、これだけの大都市でこの規模の地震にもかかわらずこの程度で済んでいるというのは災害に強い街という印象を更に裏付けました。ただ、いただけないのはテレビ局が地震直後、どこかに被害がないかとメディア目線で必死に探し、都内のマンホールから水が溢れていると大騒ぎし、レポーターが現場で煽っているのを見て、たかがこれぐらいでなぜそこまで報道するのか、私には皆目見当がつきませんでした。メディアの「煽り報道」、やめてほしいです。

では今週のつぶやきをお送りします。

株価は持ち直せるのか?

アメリカの9月度雇用統計は2か月連続の失望を誘いました。事前予想の49万人増に対してわずか19万人増に留まっています。背景は雇用のミスマッチ。わかりやすく言えばコロナまでは多少の我慢をしながらみんなでマラソンを走っていたけれど、1年半たってまたその頃のペースでは我慢してまで走りたくない、ルート(=職種)も変えたい、身の入りがもっと良い方がいいなど元に戻れない人たちで溢れかえっているというのが私の理解です。

株価は持ち直すか、ですが日本では8日連続安で3500円も一気に下げた反動で2日間連続の反発となりましたが今後は世界の動向と歩調を合わせるとみています。ではアメリカの株価はどうか、といえば懸案の債務上限問題は一旦はどうにかなりそうですが、サプライチェーン寸断、エネルギー価格高騰の流れが変わったわけではありません。見込まれる中国の恒大集団のデフォルトについては世界経済への波及は限定的だと思いますが、中国の不動産業界への連鎖反応への警戒は必要でしょう。

10月というのは株式市場にとって鬼門なのです。特に感謝祭、クリスマス向け商品の欠品、価格の割高感は今後、注目されるでしょう。昨日、当地で高級車を扱うディーラーの社長と話したら「売るクルマ、全然在庫なし」と。そういえば日本でもレクサスの注文後の待ち時間が2-3か月から半年程度に引き延ばされ、新車が出ても試乗車すらないという事態は経済全般への影響が大きくなるシグナルだと思います。

日大問題

かつて医学部の権威主義は「白い巨塔」「ドクターX」といった小説やドラマを通じて国民に大きな関心事となりました。その権威主義は今でも当然残っているのですが、それ以上にメスを入れなくてはいけないのが学校経営かもしれません。特に総合大学などで学生数の多い学校では莫大な資金が毎年動くわけでそれに関する利権は否が応でもあるのです。著名大学の建設会社は大手ゼネコンがひしめいているのですが、なぜ、それらブランドネームのある会社ではないと建設できないのでしょうか?たかが校舎でハイテクな建物ではないのに、です。

日本大学 NHKより

結局、癒着は何らかの形でどこにでもあるのでしょう。今回の日大の背任事件はとりあえず逮捕者を2名出しましたが、本丸は田中理事長かもしれません。この問題、結局のところ、学校関係者の99%は何も知らず、ドラマのように高級ステーキ屋でワインを飲みながら話が決まっていく展開だったのでしょう。学校の支配関係は正直、恐ろしいほど複雑で力関係がうごめいています。大学によっては魑魅魍魎だろうと思います。

私も母校の校友会の関係のことをやっておりますが、何年たっても校友会ですら糸がほぐれないのです。なぜだろうと考えると結局ここにも「おらが村」的発想があり、そこにお金が絡むから権力闘争がどうしても出てしまうのです。たかが校友会運営でも毎年億の単位のお金が動くのに末端の人たちがみればあれっというほどきちんと費消されています。会計報告をみても企業レベルの目線で見れば無駄だらけだけれど経済観念より権力と権威とコネというのなら残念なことであります。

「日本に戻りたくない」by真鍋淑郎先生

ノーベル賞を受賞した真鍋淑郎先生の「日本人は互いに邪魔しないように協調するが私は得意ではなかった」からアメリカ国籍を取得したというインタビューは海外在住の私にとって爆笑でもあるし、そうそうと思わずうなずく点でもあります。数年間、海外駐在を経験した社員を「洋行帰り」と称し、リハビリ期間を設けるという冗談とも本気ともつかない話も聞いたことがあります。私のように心の底まで染まってしまった者は日本に行くたびに「日本モード」に切り替えて腰を低く、丁寧なそぶりをするよう心がけていますが、最近はオンラインになり、モードの切り替えが出来ず、怒りまくっていることもしばしばあります。

昨夜、教育関係の人、4名で酒を飲んだのですが、私は足元にも及ばないほどユニークな経歴の人ばかり。しかし、彼らの人生を見ているとなにかすごいことをしてくれるのではないかとワクワクするのです。北米では組織力ではなく個人の能力の出し合い、見せあい、競い合いです。皆、負けじと努力しています。その中の一人で当地の大学で教鞭をとっている方は博士号を取得するまで5-6年かかり、初めの2年は与えられる課題があったけれどそこから先は自分で道を切り開かねばならず苦労したと述べたのが印象的でした。日本でも大変ですが、海外での博士号です。すごいです。

日大の話ではないですが、日本の学校には変な勢力関係や決まり事が多すぎて研究者も自由に羽ばたけないように思います。海外で活躍している人は普通の日本人からしたら全員「変人」だと思いますが、私からすれば「フリーレンジ(放し飼い)で育った鶏のようなもの」と自負しています。養鶏場の狭いところで育つより大地を駆け巡り、困苦にぶち当たりながらも生き抜いていくそんなライフは一度経験すると二度と止められない愉しみです。もちろん、変わり者でも芽が出る人はごく一部ではありますが。

後記
カナダはついに連邦政府の輸送関係従事者にワクチンを義務化し、ワクチンしない場合には解雇、ないし無給休暇を決定しました。また国内旅行もワクチン義務化です。バイデン大統領も企業にワクチン義務化を要請しています。ワクチンを打たねば生活できない、そんな社会です。強い抵抗を示す方もいますが、形成は悪くなりつつあります。一方、カナダ政府は次の感染の波が来ても大きくならないと発表しました。克服が近いとみているように見受けられます。そうであれば嬉しいですが。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2021年10月9日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。