世界の共産党の現状について正確に知って日本の状況の異常さの克服を
月曜日の「夕刊フジ」に日本人が意外に知らない世界の共産党の状況を紹介した。私は共産党の歴史にも現状もネガティブにばかり見ているわけでない。
しかし、世界の常識に従えば、①負の歴史を総括し、②日米同盟を明確に支持し、③名称を変更することは、最低限すべきだと思う。
そのことで、イタリアのように政権与党に加わっているところもある。その改革を先延ばしにすることが、共産党にとっていいこととは思わないし、立憲民主党などが、G7諸国で事実上、ただひとつ生き残っている共産党と事実上の連立政権を組むことを前提に総選挙に臨むことはきわめて遺憾である。
ここでは、同趣旨だが、それに加筆したものを掲載する。
日本の政治について世界の人々が、不思議に思っているのが、「共産党」という「20世紀の赤い亡霊」がまだ生き残って支持率と議席を維持していることだ。
世界には200ほどの国があるが、共産党ないしその同類が政権にあるのは、中国、キューバ、北朝鮮、ベトナムとラオスだ。
だが、中国は経済についてはとても共産主義とは思えないし、ベトナムとラオスも実質的には宗旨替えしている。
ヨーロッパの共産党はどこに消えた
G7諸国では、米国とイギリス、カナダでは歴史的に国会に議席をもたない。
西ドイツでは、ナチスと同じくその存在が憲法上否認されていたが、1968年に別組織の共産主義政党の設立が認められた。
だが、党勢は振るわず、東ドイツで政権党だったドイツ社会主義統一党と、西ドイツ社民党のラ・フォンテーヌなど左派が合流して、西欧的民主主義を標榜する「左派党」になった。
最近の総選挙では比例得票率4.9パーセント、議席で5.3パーセント、2019年の欧州議会選挙は投票率5.5パーセントだった。しかし、極右の「ドイツのための選択肢(AfD)」とともに、連立交渉の選択肢からは排除されている。
イタリア共産党は、ユーロコミュニズムの旗手としてソ連東欧型の党とは一線を画し政権参加したこともあったが、冷戦終結後に左派を斬り捨て左派民主党となり、政党再編成のなかで「オリーブの木」参加などを経て、2007年にかつてのライバルキリスト教民主党残党などとともに、民主党という中道左派政党を結成した。現在はポピュリスト政党「五つ星」と連立政権を担っている。総選挙では得票率18.7%、議席数17パーセント。欧州議会選挙では投票率22.7%だ。前大統領のナポリターナももともと共産党出身だった。
フランスでは伝統的に共産党は強力だった。とくに、第二次世界大戦でのレジスタンスでドゴール派などとともにレジスタンスの主力としてドイツと戦い、愛国主義政党としてのお墨付きを得ていることが日本とは大違いだ。
2017年の総選挙では、2.72パーセント、議席数では1.7パーセント。欧州議会選挙では2.5%だった。大統領選挙では、ここ2回連続で独自候補を立てられず、社会党から離脱した左派党のメランション候補を支持した。
かつては、20パーセントほどの得票があったので大変な凋落ぶりで、党名変更も噂されている。
存在そのものが絶滅危惧種の日本共産党
こうした世界の潮流と、前回総選挙の比例で共産党が7.9%もの得票を得て、野党第二党が、過去の反省を何もしていない共産党の協力を得て政権を狙うとか云っている日本の現状の乖離はあまりにも大きい。
自民党と公明党の連立では、公明党がより中道チックな政策を主張するので、結果として国民のより幅広くひろえるのだが、共産党が入ったら、いまでも、非現実的に左過ぎる立憲民主党がますます左によって政権を取りにくくなるし、とっても散々なことになるだろう。
共産党に何も良いことはなかったとはいわないが、その負の歴史を総括し、米国との同盟を明確に支持し、名称を変更することは、最低限するべきで、甘やかすと共産党自身の改革の目を潰すと思うのだ。
志位さんの本音は知らないが、もしかすると、一度大敗した方が古色蒼然とした不破哲三路線から脱却できるはずだ。