「過剰な節約」で時間という貴重な資産を失ってはいけない

いわゆる「年金2000万円問題」をきっかけに、日本人の間でもお金に対する関心が高まりました。更に、コロナ禍で在宅勤務が広がり、時間の余裕ができたせいか資産運用を始める人も増えています。

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お金を増やす方法は「仕事で稼ぐ」「資産運用して増やす」「節約する」の3つしかありません。

仕事のスキルを高めて年収を上げたり、真っ当な資産運用を続けて資産を構築していくのは良いと思います。しかし、将来のお金の不安から節約する場合は、始める前に良く考えるべきだと思います。

必要の無いものを買ったり、レストランで食べきれない量の注文をするといったことは明らかに無駄であり、止めるべきです。しかし、やみくもにお金を使うことを避けて、手元に残るお金を増やそうとするのは賢明とは言えません。

例えば、自己投資の一環としてセミナーに参加したり、専門の学校に通ったりするのは、将来の収入アップになるかもしれません。金銭的なリターンには直接つながらないとしても、豊かな人間関係を構築できたり、自分の精神的な豊かさを高めるのに役立つ可能性もあるのです。

あるいは、外食に行くこともコストがかかり無駄なように見えます。しかし、そこでビジネスのきっかけを得ることになったり、構築された人間関係が将来かけがえのないものになる可能性もあります。直接会って、同じ時間を共有することによって、コストがかかったとしても、ネットでのやり取りでは得られない価値があるのです。

若い時に過剰な節約をして、資産を手元に残し、それを増やすことができれば、将来のお金の不安は消えるかもしれません。しかし、20代や30代でしかできない経験を得るチャンスを逃してしまいます。

無駄な支出を減らす節約は大切なことです。ただし、時間という取り返すことができない貴重な資産を失ってしまう過剰な節約は避けるべきです。

若いうちに経験しておくべきだったという後悔は、年齢を重ねてから気が付きます。しかし、その時にはもう手遅れなのです。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年10月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。